長寿を象徴する鶴は縁起がよい!鶴紋の着物はどう着こなす?
日本には着物という文化があります。着物、帯にはさまざまな柄が描かれているのは皆さんもご存じかと思います。そのなかでも、長寿を象徴する鶴が描かれている柄は縁起がよいとされています。長寿やお祝いの場には鶴の文様が適しています。今回は、鶴にはどのような意味があるのか、鶴紋がついた着物の着こなし方について説明します。
鶴は長寿を象徴する鳥
鶴とは、日本では北海道東部を中心に生息している、ツル目ツル科に分類される鳥です。古くは「たづ」と呼ばれ神鳥と考えられていました。鶴の鳴き声は高くよく通り天の神様まで届くといわれ、人と神様をつなぐ存在と古くからありがたい鳥とされています。
もともと古代中国で鶴と亀は縁起が良く長寿の象徴としていたものが日本へ伝わったとされています。
「鶴は千年、亀は万年」ということわざにもあるように、日本でも古くから鶴は長寿の象徴としておめでたい時に欠かせない縁起物となりました。では、鶴の寿命とはどのくらいでしょうか。
日本では国の天然記念物であるタンチョウ鶴を思い浮かべますが、平均寿命が20年~30年と考えられています。ほかの鳥類の寿命が3年~10年程度といわれているため、鶴は鳥類のなかでは長生きするといえるでしょう。
長寿や祝いの場に最適な鶴の文様は、赤ちゃんのお宮参り用の着物から七五三、成人式や結婚式、長寿のお祝いなどで用いられ、着物の柄として定番です。鶴は純白の羽をもち、飛び姿や立ち姿において美しく吉祥文様として使われています。
鶴紋に込められた願い
鶴紋とは、鶴を使った文様で、延命長寿や子孫繁栄などの意味が込められた古くからある縁起のよいものでした。縁起の良さから家紋としても好まれるようになり、種類も豊富です。
鶴紋には羽を大きく広げた一羽の鶴、向かい合った二羽の鶴が描かれている柄が多くあります。種類としては、飛鶴、雲鶴、群鶴、鶴の丸、松喰鶴、向い鶴菱、向い鶴丸、折鶴、鶴亀など鳥家紋としてさまざまな文様に使われています。おめでたい場でよく使われるこの鶴紋に込められた願いを紹介しましょう。
長寿の願い
鶴は、長寿の象徴のひとつとして日本で長い間親しまれています。古くは「源氏物語」の表紙にまで登場しています。長寿を祝ったり祈ったりする席にはふさわしい文様とされています。
鶴紋のなかには折紙の鶴を文様化した「折鶴文」もあるため、折鶴や千羽鶴が病気回復や長寿の祝いに送るといったことも、鶴が長寿の象徴とされているからでしょう。また、鶴と亀を組み合わせた「鶴亀」は縁起がよいことから現在でも婚礼に使われています。
夫婦円満の願い
鶴はつがい、つまり夫婦になると一生相手を変えない動物といわれています。夫婦が仲良くいつまでもいられるようにという願いがこめられており、結婚式などのお祝いの席で使われることもあります。
二羽の鶴を向かい合わせて上下、または左右に組み合わせて外側が菱形になるような「向い鶴菱」、翼を広げた二羽の鶴が向かい合う様子を円形や楕円形にまとめた「向い鶴丸」といった文様があります。
雄雌の鶴で描かれているものは夫婦円満や子孫繁栄という願いが込められています。結婚式で着る留袖には、亀や松竹梅などを組み合わせて使われる文様でもあります。
鶴紋が描かれた着物コーデ
おめでたい意味がこめられている鶴紋は、振袖から留袖までいろいろと描かれています。鶴が空を悠々と飛ぶ姿やほっそりと立つ姿は上品で美しいものです。
姿の美しさや凛々しさが日本人の心をとらえているのも、古くから愛されている理由ではないでしょうか。その鶴が描かれた着物には鶴の他にも縁起のよい文様との組み合わせで使われることがよくあります。ここでは組み合わせた文様とのコーディネートを紹介します。
鶴と白い波模様
いつまでも続く幸せや海の恵みなどを意味する白い波模様は、吉祥文様のなかのひとつとされています。その波の上を飛んでいく鶴の群れが描かれているモダンシックな振袖です。
黒い色が下地となる着物ですが、白い波模様に鶴が振袖の雰囲気に合うようにシンプルな形になっています。帯はオレンジ色でコーデすることで、優しい印象になります。
鶴と松竹梅
松竹梅のおめでたい花模様に二羽の鶴が飛んでいる夫婦円満を意味する文様をあしらった華やかな振袖は、格調の高い装いにぴったりです。
帯揚げも紅白にすると、より一層おめでたい印象になります。結婚式で花嫁が着るのにもふさわしい文様といえるでしょう。また、これからよい方と巡り合えるようにと成人式などで着るのもよいかもしれません。
まとめ
鶴は縁起がよい生き物とされています。鶴が描かれた文様や鶴に込められている願いや着物のコーデについて紹介しました。鶴という文様はたくさんの種類があり、他の文様と組み合わせることでさらにおめでたい意味を持ち合わせることになります。季節に適したおめでたい柄や古くからある伝統の柄などその場に合わせていろいろな柄を楽しめます。着物を選ぶ際には鶴の文様が表す意味や願いを考えながら、素敵な鶴の柄を探して楽しんでみてください。