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蜻蛉柄は勝利を呼ぶ?夏から秋にかけて着られる着物について解説!

公開日:2023/09/15  

蜻蛉は夏から秋にかけて用いられる柄で、浴衣や夏用の着物柄としても有名です。着物柄に昆虫があうのかと思われる方もいるでしょう。しかし蜻蛉柄は昔から着物の柄として親しまれています。日本では、夏休みやお盆から秋にかけて見かける馴染みのある昆虫です。今回は蜻蛉柄の着物にこめられた意味や、着こなしのポイントなどを解説します。

勝ち虫とも呼ばれる蜻蛉(トンボ)

蜻蛉は「勝ち虫」と呼ばれますが、なぜそうなったのでしょうか。蜻蛉は前にしか進めず、後退が出来ないため、勝負強く勇猛果敢な強い虫で勝利を呼ぶ虫とされ、「勝ち虫」となりました。目玉の大きさも強さを表しています。

古事記によれば、雄略天皇が狩りの休憩中に、アブに腕を刺されてしまいました。そこへ蜻蛉がきてアブをさっと捕まえていったそうです。そのことを雄略天皇は歌に詠んだために、戦国武将たちに蜻蛉が「勝ち虫」として勝利を呼ぶ証となり、陣羽織などの武具にも好んで使われるようになったと言われています。

また、百の足と漢字で書かれる、ムカデも後ろに退くことが難しいため「勝ち虫」と呼ばれた昆虫の仲間です。しかし見た目が悪いため、蜻蛉だけが着物や浴衣の柄になっています。また、総柄にデザイン化された蜻蛉柄もあります。

蜻蛉柄の着物に込められている意味

蜻蛉は、秋になると群れをなして飛んでいることが多いことから、五穀豊穣の象徴とされています。また、害虫を取り除いてくれる水田に欠かせない益虫として重要な存在で、弥生時代の銅鐸にも蜻蛉の文様が描かれています。

蜻蛉柄は、五穀豊穣を願い繁栄の象徴ということで縁起のよい柄とされ、着物や帯に描かれるようになったと考えられるでしょう。着物の柄には縁起物がよく用いられます。「松竹梅」は代表的な柄のひとつです。

また、蜻蛉はものの頭や先にしか止まらない昆虫です。そのため、人の頭に立つように成長してほしい、つまりは出世を願うという意味で、男児の産着の柄としても描かれています。弥生時代の銅鐸から鎌倉時代には、武士の衣服や武具、江戸時代には能装束や小袖に蜻蛉の文様が描かれています。

日本は蜻蛉の飛ぶ豊かなよい国と「日本書紀」に書いてあり、日本では古くから蜻蛉柄の文様が使われていました。蜻蛉柄は染めるだけではなく、織ることでも表現され、蜻蛉絣(とんぼがすり)か有名とされています。

蜻蛉柄の着物を着こなすポイント

蜻蛉柄は、写実的や単独の柄の場合は、夏に着ることをおすすめします。蜻蛉柄は秋をイメージしますが、暑い夏に着ることで、秋の涼しさを感じられます。最近では、水辺を思い浮かべるような、涼しい柄として使われることが多くあるようです。

また、秋草柄と呼ばれる桔梗、萩、女郎花、藤袴、すすき、葛、撫子は一緒に描かれていることで「秋草文様」と言われています。また、蜻蛉柄と組み合わせることが多く、夏の着物や帯に涼しさを先取りし、夏から秋にかけて着用されることが多いです。

芝草柄も、蜻蛉柄と組み合わせることが多い着物の柄です。芝草柄の着物は夏・通年着られますが、芝草柄は秋草柄とも相性が良く、組み合わせた場合は夏に着ることがおすすめです。この柄も秋を先取りする柄となっています。

「勝ち虫」と呼ばれる蜻蛉は、「勝負」と「菖蒲」で蜻蛉菖蒲や、武具の「矢」と組み合わせた矢車に、蜻蛉など武将の縁起担ぎから生まれた柄もあります。一般的に夏から秋にかけて着用する柄となり、秋草と組み合わせると、より一層季節感を表すことが可能です。夏の着物らしく涼しい水色の幾何学模様が、流れるような水のように見える着物に蜻蛉が飛んでいる構図の帯をすることで、おしゃれな装いになります。

帯の蜻蛉柄が刺繍で模様を浮かびあがらせ、平凡な着物に力を添える存在になっています。帯が同じでも着物の柄が違えば、またイメージも変わります。浴衣でも蜻蛉柄の衿付きや蜻蛉柄の帯、蜻蛉の形をした帯留めなど小物を付け足すだけで、おしゃれ感を引き出すことが可能です。

着物は帯や小物を変えるだけで雰囲気が異なり、コーディネートが楽しくなります。

まとめ

蜻蛉は古くから日本に生息し、親しまれてきました。弥生時代の銅鐸にも蜻蛉は描かれています。「古事記」や「日本書紀」といったものにも記されているように蜻蛉は語り継がれ、五穀豊穣や繁栄の象徴となりました。

また、蜻蛉からは縁起物としても用いられています。蜻蛉柄は浴衣や夏の着物などに描かれることが多く、写実的に描かれている蜻蛉柄の着物は夏から秋にかけて着ることをおすすめします。

また、秋草柄や芝草柄と組み合わせることでより季節感が増すことでしょう。浴衣でも帯や小物を変えるだけでぐっとおしゃれな雰囲気になります。浴衣にもこだわってみたいと思っている方は蜻蛉柄に組み合わせる柄や小物をポイントとしてこの選んでみましょう。

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