着物は右前と左前どっちで着る?着物マナーと忘れないための覚え方
着物の着こなしには、マナーやルールが存在します。特に覚えにくいのが着物を右前で着るべきか、左前で着るべきかという部分です。一度調べても、何度も忘れてしまう方も多いでしょう。この記事では、着物の着方について詳しく解説し、忘れないための覚え方を解説します。ぜひ最後までご一読ください。
着物は右前で着る!左前は「死装束」を意味する
着物の着方には、右前と左前、二つの選択肢があります。
右前とは、相手から見て右側の衿が左側の衿の上に重なって見えるように着用することです。一方、左前は相手から見て左側の衿が右側の衿の上に重なって見えるように着用する方法です。
右前で着物を着る理由
右前で着物を着る理由には歴史的背景があります。
奈良時代に、中国の習慣に習って「発令天下百姓右衿」という定めが発令され、それ以降、着物は右前で着ることが日本の伝統として受け継がれてきました。
この着方により、相手から見て「y」の形を作ることができ、自分から見て左側の衿が前にくるため、美しい着こなしが実現できるのです。
「左前」は「死装束」の意味がある
一方、「左前」で着物を着ることは、日本文化において縁起が悪いとされています。
なぜなら、「左前」の着方は、「死装束」の意味があるためです。このため、健在の方が「左前」で着物を着ることは忌避され、避けられてきたのです。
着物を「右前」で着る!を忘れないための覚え方
着物を正しく「右前」で着ることは大切です。
しかし、忘れてしまうこともあるかもしれません。以下に、着物を「右前」で着る方法を忘れないための覚え方をご紹介します。
覚え方①: 右手が衿元に入る
正しい着物の着方を覚えるための第一の方法は、着ている人の右手が衿元に入ることです。
この覚え方は、右利きの人が多いことを考慮しています。右手が衿元にスムーズに入るのは、「右前」の着物の特徴であり、このポイントを覚えておけば、一度忘れてしまっても、その場ですばやく正しい着方を思い出すことができるでしょう。
覚え方②: 衿合わせが「y」の形
「右前」の着物の別の覚え方は、衿合わせが、着ている人以外の周りから見てアルファベットの小文字のyの形になることです。
この独特の形状は、「右前」の着物を視覚的に識別するためのヒントとなります。衿元が「y」の形を描いている場合、それは正しい着物の着方であると認識できます。
覚え方③: 柄の鮮やかさ
着物には美しい柄が施されていることが多いですが、その柄の鮮やかさも着物の着方の指標となります。
通常、上側にある柄がより鮮やかで豪華です。このポイントを覚えておくことで、柄の鮮やかさを基準にして正しい着物の着方を確認できます。
これらの覚え方を駆使して、着物を「右前」で着ることを忘れず、正確な着物の着方を確保しましょう。失敗や勘違いを防ぎ、美しい着物の装いを楽しむために、これらのヒントを有効活用しましょう。
覚え方④: 右手の利便性
「右前」の着物は、右手を衿元にスムーズに入れることができ、衿を簡単に調整できるという利便性を持っています。
この特徴を覚えておけば、着物の着方が正確になるだけでなく、快適な着用も実現できます。右手の利便性を心に留めて、正しい着物の着方を実践しましょう。
覚え方⑤: 男性と女性の違い
着物の着方には、男性と女性で違いがあります。
男性は洋服の前合わせと同じく「右前」で着物を着ますが、女性は逆になります。この違いを覚えることは、正しい着物の着方を確保する際に役立ちます。性別に合わせて着物を「右前」に着ることを覚えましょう。
着物の衿合わせのポイントと注意点
着物を着るときには、衿合わせに注意を払うことが大切です。
以下に、衿合わせのポイントと注意点を詳しく説明します。
衿合わせのコツ
正しく右前で着用できていても、衿合わせがズレていたり、ゆがみがあると着崩れの原因になります。
衿合わせを整えるコツとして、長襦を正しく着用することが重要です。これにより、衿元が美しく整い、着物の姿が引き立ちます。
長襦から作る崩れにくい衿合わせの方法
着物の「背縫い」が背中のセンターに来るよう着ることがとても重要です。
衿合わせを整える際には、背中の真ん中に線が一本あることを意識して「背縫い」を合わせましょう。これにより、衿が正しく配置され、快適な着用が可能になります。
スマホでの撮影に注意
スマートフォンでの自撮りや写真撮影時には注意が必要です。
写真は通常、左右が反転します。そのため、衿元も左右が反転し、左右反転した画像をSNSなどに公開してしまうと、縁起が悪いという印象を与えてしまうことがあります。撮影前に確認し、着物の正しい着方を保ちましょう。
TPOに合わせた衿元のマナー
着物をフォーマルな場で着用する際には、基本的には衿元をほぼ直角に合わせることが望ましいです。
この姿勢は、清潔感のある式典などにふさわしい印象を演出するのに役立ちます。ただし、フォーマルシーンよりもカジュアルな場で着物を着用する際には、衿の角度を緩めても問題ありません。
知人との食事会などでの着物のマナー
知人との食事会など、カジュアルな場面では、清潔感を保ちつつ、かしこまりすぎないムードに着物を着ることができます。
直角に近い形で衿合わせをすることで、60度程度の角度で衿合わせし、こなれたムードに着物を着こなしましょう。体型に合わせて工夫することも重要です。特に細めの女性は、直角に近い形で衿元を合わせることで、スタイリッシュな印象を演出できます。
まとめ
着物の着方は、日本の伝統と文化に根付いた重要な要素です。正しい着物の着方を知り、マナーを守ることは、日本の美しさを表現する一環となります。着物を着る際には、右前で着ることが一般的であり、その背後には奈良時代の歴史があります。また、衿合わせや着物の角度にも気を配り、TPOに合わせた着こなしを心がけましょう。