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伝統的な着物染めの技法「加賀友禅」について解説!

公開日:2020/09/01   最終更新日:2020/09/09

着物を上手に着られるようになるためには、和服に関する知識をたくさん知っていることも必要です。日本では昔から全国各地で、着物が作られてきましたが、各地域の特産品として現在まで残っているものも多くあります。石川県の名産品である加賀友禅も人気のある着物染めの技法で、現代でも多くの人に愛用されています。

加賀に昔から存在した染色の技法

加賀友禅は北陸地方の石川県に伝わる伝統的な着物染めの技法です。この和服が石川県で作られてきた歴史は非常に古く、江戸時代から加賀の名産品として諸国に知られていました。今の石川県は昔、加賀国と呼ばれていて、北陸地方の中では古くから文化が栄えた地域でした。

室町時代には当時この地方を支配していた守護大名を住民が追放して、その後1世紀近く、住民の代表が国を統治していました。もともと加賀には、着物を染める技術が発達していて、梅染めという染色の技法が広まっていました。

これは梅の木を利用して着物に色をつける方法で、梅の木の表面についている苔を使って色を出す技術です。苔は枝や樹皮など、梅の木の広い場所についているので、染色の材料として梅は利用しやすい植物でした。この苔をお湯で煮ることによって染色のための染料を作ることができ、加賀では無地の梅染めが主におこなわれていました。

この技術が日本で利用されてきた歴史は古く、飛鳥時代の頃からおこなわれていたことが知られています。この梅染めの技術を基本にして発展したのが加賀友禅で、無地の染物がきらびやかなデザインに進化しました。

意匠を担当した宮崎友禅という絵師

加賀友禅は、江戸時代の有名な絵師である宮崎友禅という人物によって、その意匠が確立した染色の技法です。宮崎友禅は1654年に生まれた人物で、元禄時代に京都で絵師として活躍しました。生まれたのは能登国の穴水で、現在の石川県の北部にあたる地域であることから、石川県とも関係の深い人物です。

加賀染めを地元で習った後に、宮崎友禅は京都に自宅を構え、友禅という名前を使って意匠の図案などを描いていました。宮崎友禅は扇に絵を描くのが専門の絵師だったのですが、彼が扇に描いた絵柄が京都で流行したことから、多くの人にその名前が知られるようになりました。

その頃から宮崎友禅は着物のデザインの仕事もするようになり、友禅が描いた模様は友禅模様として、京都で人気になりました。晩年は故郷に戻って生活していたのですが、そのときに彼が身を寄せていたのが、加賀の商人である太郎田屋です。

太郎田屋は加賀藩の御用紺屋棟取でもあったことから、友禅はお店に協力して、加賀の染物の技術にそれまでにはなかった画期的な意匠を持ち込みました。加賀藩では江戸時代の中ごろから加賀御国染という技法が開発されていたのですが、この加賀御国染と宮崎友禅の意匠が一つになったのが、加賀友禅です。

たくさんの色を使用する染色の特徴

着物の染色技法としての加賀友禅の特徴は、多くの色を使用して染色をおこなうことです。日本で生産されている和服の中には、限られた色で染色をおこなうものも多いことから、たくさんの色を使って染色する加賀友禅の技法は非常に画期的でした。

主に使用されているのは加賀五彩という五色の色で、藍色と臙脂、草色、黄土色、古代紫の五色の色が使われています。特に緑や紫、紅色統の色を多く使用していることが特徴で、非常に華やかなデザインの着物です。加賀友禅の柄に使われているのは、絵が多いことも特徴になっています。

自然の植物や鳥などをデザインした絵が服の柄として一般的に使われています。これは同じように宮崎友禅がデザインした京友禅とは異なっている特徴で、京友禅では図案などが多く柄に用いられていました。独自の技術も発達し、虫食いなどがその代表的なものです。

ぼかしという技術もよく使われる技法で、これは京友禅でも使われることがありますが、加賀のほうがさらに多く使われています。染色が終わった品物は川で洗い流すことで、余分についている染料や糊を水で流すことができます。この工程のことを友禅流しと呼んでいて、石川県内を流れている川でもおこなわれています。

 

加賀友禅は石川県の伝統的な着物の染色技術です。石川県にはもともと梅染めという染色の技法が広まっていましたが、これは梅の木の表面についている苔をお湯で煮込むことによって、染料を作る方法です。この技法を元に作られたのが、加賀御国染という技術で、江戸時代の中ごろに加賀藩で開発されました。

この加賀御国染に、それまでになかった新しい意匠を組み合わせて誕生したのが加賀友禅で、意匠を担当したのは能登が出身地の宮崎友禅という有名な絵師です。宮崎友禅は京都で活躍した人物で、京友禅を完成させた人物としても知られていますが、晩年に地元に戻ってきたときに意匠を担当しました。多くの色を使用して染色をするのが特徴で、加賀五彩という五色の色が主に使われています。

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