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幅広いシーンで着用できる!便利な着物である訪問着の特徴とは?

公開日:2022/09/15  


着物にあまりなじみがない人でも訪問着という言葉は聞いたことがあるのでないでしょうか。堅苦しい印象の訪問着ですが、実は種類も多く着用の場が広い便利な着物です。ここでは、訪問着という着物の特徴や汎用性の高さを紹介します。訪問着を着ることがある方は、ぜひ参考にしてください。

訪問着とは

着物が身近でなくなった現代では着物を着る機会が少ないので、訪問着を知らなくて当然でしょう。訪問着という着物はどんな着物なのか誰がいつ着るのか解説します。

訪問着の特徴

訪問着はその名の通り、人の家に訪問する時や招待された席などに着て行くのにふさわしい着物です。つまり普段着ではなく、よそ行きの着物というわけです。訪問着の最大の特徴は着物の柄付けにあります。着物を広げたとき、縫い目に関係なく柄がつながっていて一枚の絵のようになっています。この縫い目をまたいでつながっている柄を絵羽模様というのです。振袖もこの絵羽模様ですが袖の長さが違います。振袖の袖を短く詰めて訪問着にする場合もあります。

また、訪問着は未婚、既婚、年齢に関係なく着用できるフォーマルの着物です。未婚者の場合は振袖に次ぐフォーマルが訪問着です。既婚者の場合は留袖の次が訪問着。つまり、未婚者も既婚者も第一礼装の次に改まったフォーマルの着物ということになります。

訪問着の歴史

訪問着の歴史は意外に浅く、およそ100年前の大正初期です。それまでは、留袖のような礼装か小紋のような普段着しかありませんでした。その中間的な役割は小紋に一つ紋を付けたり、小紋のうえに羽織を着用して補っていました。紋を入れることや羽織を着ることで格上げしていたのです。

訪問着はあらゆるシーンで着用できる

訪問着は改まった席で着用するフォーマルの着物ですが、どんなときに着るのがふさわしいのか例を挙げていきます。

節目の祝い事

子どもの節目の祝い事に訪問着を着用する人は多くいます。お宮参りや七五三、入園入学式、卒業式など子どもの成長を祝う節目に着物を着る人もいるでしょう。そういうときにふさわしいのが訪問着です。ただし、入学式や卒業式は子どもが主役で親は付き添いのため華美すぎる訪問着は避けたほうがよいでしょう。

招待客として赴く

結婚披露宴などに招待された席に赴く場合も訪問着はふさわしい着物です。縁起のよい古典柄の訪問着などはぴったりです。

お茶会

お茶会にも訪問着は着て行けます。ただし、決まり事がある茶道では注意が必要です。招く側の亭主や招かれる側の客の立場によって着物が異なるからです。お茶会に招かれた場合は一緒に行く先輩方などに相談するのが無難でしょう。

観劇、食事会など

観劇や食事会にも訪問着は着て行けます。その場合は、フォーマル感の強いものよりはカジュアル寄りの訪問着が向いているでしょう。なぜなら、歌舞伎座などの観劇はドレスコードがないからです。中にはTシャツにジーンズ姿の人もいるくらいです。

ちなみに、公演や席によっても違いが多少あります。歌舞伎の初日や襲名披露などのときは改まった訪問着の装いの人が多く、席に関しても前の方は関係者もいるのでやはり改まった装いの人が多いです。逆に後ろの席はそうでもないので、改まったフォーマルでの装いは悪目立ちしてしまうかもしれません。

また、食事会などでは金や銀を避けた帯でカジュアル感を出してもよいでしょう。このように訪問着はあらゆるシーンで着用できる汎用性が高い着物といえます。

訪問着は種類が豊富

訪問着がさまざまな場所で着用可能な用途の広い着物であることを記しました。極端にいうと、身内の慶事凶事以外ほとんど着用可能といっても過言ではありません。種類も豊富で、古典柄や吉祥柄のほかにもモダンで大胆なものまでいろいろあります。最近では紬の訪問着もでています。着物には格というのがあり、どんなに値が張るものでも格が低いと普段着扱いになるのです。高価な大島紬や牛首紬でも同じです。

しかし、紬の訪問着の存在で格の線引きが曖昧になり着物のとらえ方が自由になってきました。自由とはいえTPOは大切です。周りの人とも気持ちよく過ごすためにもその場に合った訪問着を選びましょう。装いの確認をしていくと、結婚披露宴などでは華やかな色柄やおめでたい古典柄などの訪問着が向いています。帯は金や銀などの入った袋帯を合わせるとよいでしょう。

入学式や卒業式など子どもの行事で付き添いとして着る訪問着は、主張しすぎない訪問着がよいでしょう。淡い色使いで古典柄など控えめで上品な訪問着がおすすめです。観劇や同窓会など格式張らないカジュアル寄りの場では、明るい色柄の訪問着を選び帯留めなどの小物は遊び心がある個性的なものを取り入れてもよいでしょう。

訪問着と色留袖の違い

訪問着と色留袖は、どこが違うのか一目見ただけではよく分からないかも知れません。それらを比較しながら違いを解説します。

色留袖の特徴

色留袖は改まった席で着用する格の高いフォーマルの着物です。五つ紋の色留袖は黒留袖と同格になります。しかし、五つ紋の色留袖は身内の結婚式や叙勲の授賞式など限られた場での着用になるので、紋を入れるなら一つ紋のほうが着用範囲は広がります。黒留袖との最大の違いを挙げると黒留袖は既婚者のみの着用ですが、色留袖は未婚既婚にかかわらず着用可能です。

色留袖の装い

色留袖の装いは黒留袖と同じです。合わせる帯は、格調高い有職柄や吉祥柄、正倉院文様などが織り込まれた金銀の錦織や唐織、綴れ織などが主。半襟、帯揚げ、帯締めは白、帯の左側に礼装用の末広を挿します。草履とバックは金銀の礼装用を用います。小物使いは黒留袖と一緒で装いの決まり事です。余談ですが、黒留袖は元々華やかな色でしたが明治以降西洋のブラックフォーマルの考え方の影響で黒になりました。

訪問着と色留袖の見た目の違い

一見すると訪問着と色留袖は似ていますが、最大の違いは上半身に柄があるかないかです。どちらも縫い目をまたいで柄がつながっている絵羽模様ですが、色留袖は裾模様のみで上半身には柄がありません。

訪問着と色留袖の着こなしの違い

色留袖の装いは黒留袖と一緒で格調高いものを用い、着て行く場もフォーマル一択です。それに対して訪問着の柄は古典的なものからモダンなものなどさまざまな種類があり、合わせる帯も訪問着の色や柄に合わせて比較的自由です。着用シーンもフォーマルからカジュアルに近いシーンまで幅広くあります。格は色留袖が訪問着よりも上です。

訪問着と色留袖の共通点

訪問着と色留袖の共通点は、改まったフォーマルでの使用という点と、未婚既婚に関係なく着用できることです。

まとめ

訪問着と色留袖は見た目が似ていますが、格が高い色留袖の着用シーンはフォーマルのみでしょう。それに対し訪問着は古典柄やモダン柄など種類が豊富で、フォーマル以外のシーンでも着用できる汎用性の高い便利な着物です。それが分かったところで、観劇や食事会などにも民族衣装である着物を着て出かけましょう。

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