着物の柄には意味がある!「麻の葉模様」に込められた意味とは?
着物の柄はさまざまで、意味のあるものから単にモチーフとして使っているものなどいろいろです。最近とくに注目されているのが古典柄で、日本ブームという背景があるからかもしれません。今回は、日本の伝統文様のひとつである麻の葉模様に焦点を当て、模様に込められた意味を解き明かしていきましょう。
日本の伝統文様のひとつ「麻の葉模様」とは
麻の葉模様とは六角形の幾何学文様で、かつて仏像の装飾などに使われていました。三角形や菱形などの文様を規則的に配置し、いろいろなカラーで仕上げます。幾何学文様とも呼ばれ、麻の葉に似ていることから麻の葉模様と呼ばれるようになりました。
植物をモチーフにしたように思われていますが、麻の葉模様は植物の模様ではありません。日本の伝統文様には七宝、亀甲、老松、市松模様など数多くの模様があり、それぞれ意味があります。着物だけでなく、建築物や陶磁器などさまざまなものに取り入れられています。このような日本の伝統文様はデザイン性が優れており、国外からも注目され高い評価を受けています。
人気漫画「鬼滅の刃」のヒロイン・禰豆子の衣装でお馴染み
世代を超えて人気を集めている鬼滅の刃は、時代背景を大正時代とした人気漫画です。登場人物の衣装が注目されているのは日本の伝統文様が使用されているからで、主人公の炭次郎の衣装は市松模様となっています。市松模様も日本の伝統文様のひとつで、代表的な模様だといえます。その炭次郎の妹である禰豆子が着用しているのが、麻の葉模様の衣装です。
ほかの登場人物の衣装も伝統文様が多く使用されていて、単にストーリーを楽しむだけでなく人によっては奥深い漫画であるといえるでしょう。禰豆子の衣装の中で帯に使われているのは、炭次郎と同じ市松模様となっており赤と白の色合いが活きています。この市松模様と麻の葉模様のコントラストがより時代を反映して、どこか懐かしくもあり魅力あるものとなっています。禰豆子人気によって、小さな女の子が禰豆子の衣装でコスプレをしているのは、可愛い中にも時代を感じさせます。
麻の葉模様に込められている意味
麻の葉模様は江戸時代に大流行し、子どもの産着や着物に使われるようになっていきました。大流行した要因の一つとしては、麻は生命力が高いということが挙げられます。麻は手入れをしなくても数か月で4メートル近くに育つ植物で、模様そのものに邪気を払う力があると信じられていました。
そのようなことから、魔除けとして女の子にも男の子にも麻の葉模様の着物を着せていました。昔は子どもの死亡率が高かったため、元気に育ってずっと健康でいてほしいという願いが込められていたのでしょう。植物が信仰に溶け込み、長い年月を経ても言い伝えられてきたのは、神仏と同じような対象であったのかもしれません。
麻だけでなくほかの伝統文様にもいろいろな意味が込められており、とくに着物の柄に多く使われています。そして人気漫画の登場人物の衣装として、伝統文様が注目されているのはとても興味深いことです。
江戸時代の女性に人気の文様だった
現在でもよく使われる麻の葉模様は、着物の柄としてなじみがあります。着物や帯、長襦袢などに使われ、さまざまな模様のパターンがあるのも特徴です。江戸時代では女性の着物や子どもの産着に使われており、とくに若い女性の着物に多く描かれていました。麻の葉模様は定番の文様として定着し、江戸時代の女性に人気の文様であったことが知られています。
そしてその人気の理由は、歌舞伎役者の衣装によく使われていたことが影響したのかもしれません。どちらかといえば女性らしさを演出する文様であり、江戸時代の女性には欠かせないファッションであったのでしょう。
今では着物の柄だけでなくインテリアデザインにも使われ、身近な文様として親しまれています。同じ麻の葉模様であっても染色技法によって表情は異なり、代表的な鹿の子文様は独特な技法で作られています。
時代の流れで流行も変わっていきますが、日本の伝統的な文様が現代にまで受け継がれているのは、やはり女性に愛される魅力があるからでしょう。伝統を残しながら現代風にアレンジしていくことで新たなファッションが生まれますが、根底にあるのはかつて人気を集めていた伝統文様であることは間違いありません。
まとめ
着物の柄に使われている麻の葉模様について調べてきましたが、いかがでしたか?着物にはいろいろな伝統文様が使われており、それぞれ込められた意味があります。麻の葉模様には邪気を払う力があると信じられていたため、魔除けとして子どもの産着などに使われていました。
昔も今も目に見えないものにすがるという風習のようなものがあり、人々は神仏に手を合わせます。ある意味伝統文様が存在するのも、人々が願いをそれぞれの文様に込めてきたからなのでしょう。家内安全や子孫繁栄、五穀豊穣、学業成就などの願いを着物の柄だけでなく、陶磁器や室内装飾にも込めて使われています。日本の伝統文様が世界からも高く評価され、和柄として注目されているのは誇れる日本の伝統文化であるといえます。