着物の小紋ってどういうときに着るの?用途や選び方をご紹介!
何かのきっかけで、着物を着てみようと思ったときに悩むのが、着物の種類ではないでしょうか?着物は種類をあげただけでも留袖、振袖、訪問着、付下げ、色無地、小紋などたくさんあります。今回は、ちょっとおしゃれしてお出かけしたいときなどに重宝する、小紋についてお話しします。ぜひ参考にしてください。
着物の小紋とは
小紋は、繰り返し型染めされた着物です。全体に細かい紋様が入っていることが名前の由来とされています。由来でもお分かりいただけるように、小紋は細かい模様が着物全体に入っていて、模様自体も訪問着のように上下があるわけではありません。染めや色糊で染色されていて一言でいえば、上下のない細かい模様が繰り返し型染めされた着物です。その歴史は古く、平安時代には原型が誕生したといわれています。
鎌倉時代になると染めの技法が誕生し、室町時代や戦国時代には小紋染めが着物に使われ始めました。その後、徐々に技術が進歩し染めや柄、色彩豊かな小紋が誕生し、現在のようなさまざまなシーンで着ることのできる小紋に発展しました。縮緬(ちりめん)生地が主流ですが、綸子(りんず)や紬生地もあります。
小紋とひとくくりにいっても、柄が所々に入っているものはとび柄小紋、とび小紋といわれ、着物全体に柄が入っているものは、総柄小紋といいます。模様もさまざまで、御所車や扇子、もみじや松竹梅などの古典柄、格子や縞などの幾何学模様もあり、帯との組み合わせでさまざまな表情が楽しめます。
小紋と訪問着の違い
洋服でいうおしゃれ着やフォーマル、普段着のように着物にもTPOに合わせた装いがあり、和服には格があります。この格というのは、格式や格調のことで着物そのものから小物まですべてに格があります。一般的に江戸小紋を除いて小紋はカジュアルな着物です。
和服のなかで、既婚女性の第一礼装といわれ、もっとも格が高い着物が黒留袖ですが、黒以外の色で五つ紋の入った色留袖も黒留袖と同格の第一礼装になります。次に格が高いのが三つ紋、一つ紋の色留袖です。この三つ紋や一つ紋の色留袖は準礼装といい2番目に格式が高い着物です。
訪問着そのものは、略礼装という位置づけで、ちょっとしたパーティーやお見合い、結納、子どもの七五三や卒業式などに着ることのできる着物ですが、豪華な柄ゆきの訪問着に紋を入れることで、準礼装の扱いになり、フォーマルシーンで着ることができる着物になります。
では小紋はどうでしょうか。あくまで小紋はカジュアル着なので、紋を入れることでフォーマルとして着られるほど格調高くなる、ということはないうえ、小紋に紋を入れることは一般的ではありません。しかし、カジュアルシーンでは大活躍な着物です。小紋を着る場面としては観劇やコンサート、ホテルや料亭でのお食事会、同窓会、お稽古ごと、ホームパーティーなどがぴったりです。
洋服でいう、おしゃれ着やお出かけ着のような感覚です。古典的な飛び柄の小紋に格調のある袋帯などを合わせて、優美で上品な印象に装ったり、総柄小紋とシンプルな名古屋帯で清楚な装いになったりと、普段着感覚だけに、帯との組み合わせで、がらりと印象が変わるのも小紋の楽しみの一つといえます。
小紋を選ぶ時のポイント
小紋は種類が豊富にあり、帯との組み合わせで、何通りも楽しむことができるおしゃれ着です。選ぶ際には、まずどこに着ていきたいか、どんなシーンで着たいか、着る人の年代などにも注意が必要です。色使いの多い細かい総柄小紋に柄の多い帯を合わせると、元気で若い印象になります。
帯をシックな色合いにすることで、遊び心のなかにも、落ち着いた雰囲気のある印象になります。淡いとび柄やシックな飛び柄の小紋に、シンプルな柄の帯や金糸、銀糸の帯を合わせると、きりっとしていながらも優雅な雰囲気になります。お出かけ先やシーン別では、七福神や鳳凰、矢絣、金嚢、扇子などは縁起がよい柄とされ、おめでたい席にぴったりですし、桜や梅、寒椿、雪輪紋様、紅葉などは、季節を感じられるお出かけ着としてお食事や、ショッピングなどが合うのではないでしょうか。
格子や縞のクラシックな柄は、上品で落ち着いた印象になるので観劇やコンサート、お稽古ごとなど、ちょっとしたよそゆき着として着ることができます。小紋を購入する場合、あれもこれもと欲しくなってしまいますが、まずはご自身が持っている帯と合わせられる小紋を選ぶとよいでしょう。小紋にあわせて帯や小物を一緒にそろえて、トータルコーディネートを楽しむこともできますが、すでに持っている帯を活かせるような小紋を選んで、シーンや気分に合わせて帯を変えることで、1枚の小紋を何通りも楽しむことができます。
まずは、着ていきたい場所やシーンを思い描きながら、ご自身が気に入った1枚を購入すると、お出かけが楽しみになるのではないでしょうか。2枚目以降に購入する場合は、1枚目とは逆の雰囲気の小紋を選ぶと、バリエーションが広がります。迷っている人は、まず1枚目は自分の好みで選んでみてはいかがでしょうか。
いかがでしたか。柄や生地、色の種類が豊富で普段着感覚で着ることのできる小紋ですが、その組み合わせも豊富にあるので、気分やシーンに合わせて、いつもとは違ったお出かけを楽しんでみてはいかがでしょうか。