着物を着る際には「合わせ」に気を付けて!
着物を着るときには専門のところで着付けをしてもらう場合が多いので、着方をきちんと理解できていない人もいるでしょう。しかし自分の着物を購入したら正しい着方を知っておく必要があります。その際に重要になるのが「合わせ」です。合わせというのを話には聞いたことがあっても詳しく知らないという人も多いので詳しく理解しておきましょう。
和装には着方のルールがあるので注意しよう
和装には古くから定められている着方のルールがあり、ルールに則っていないと縁起が悪いということがよく言われます。その一つとしてよく知られているのが前合わせです。身頃をどのようにして重ねるかのことで、右前と左前の二通りが考えられます。
和装では右衽着装法と言われる厳しい決まりがあり、全て右前にすることと定められています。洋服のように男性と女性で右と左のどちらを前にするかが違うということはなく、男女共通のルールとして和装であれば右前というのが原則です。
左前は縁起が悪いとよく言われますが、これは亡くなった人に装束を付けさせるときに左前にするからです。1,000年以上も昔にこのようなルールが決められたために、左前にすると亡くなった方のようで縁起が悪いと言われてしまうようになりました。昔は小さい頃から和装が普段着だったので、子供を教育するという観点でも縁起が悪いという端的な言葉で説明できるようにしたという考えもあります。
右前について詳しく理解しておこう
右前にすればよいというのがわかると単純だと考えるかもしれませんが、実は初めて自分で着付けをしたときに逆にしてしまうことがあるので注意しましょう。右前と言われたときに身頃のどちら側を体に近いほうにして、どちらをその上に重ねようと考えるでしょうか。
実はこの考え方が右前、左前といった考え方が生まれた昔の日本と現代日本では違っています。現在では「前」というと「前方」を意味するものだと考えてしまいがちです。そのため、右前で着るときにはまず左側の身頃を体にかけ、右側の身頃を重ねるという風にしてしまう傾向があります。
しかし、この重ね方は昔の日本文化における捉え方では左前になってしまっているのです。昔の考え方では「前」というとまず「手前」を意味していました。つまり、右前という場合には右側の身頃が手前にある状態のことを指すのです。
この考え方に従うと、右前で着るときには右側の身頃を体にかけて、その上に左側の身頃を重ねるという形になります。このように「前」という言葉の捉え方の違いによって今と昔では直感的に判断したときの重ね方が正反対になってしまうのです。この点を理解しておかないと亡くなった方が着る左前の着付けで、お祝いのシーンに登場するというようなことが起こってしまいます。
プロに着付けをしてもらったときにもわざわざ説明してくれることは少ないので注意しましょう。ただ、前合わせについて知りたいと伝えれば丁寧に説明してもらえます。自分で着付けをする前にプロにポイントを示してもらいながら教わっておくのもよいでしょう。
右前のほうが美しく着られるのも魅力
右前が前合わせのルールと定められている影響で、そもそも着物を美しく着るためには右前にしなければならないということも知っておくとよいでしょう。着物は右前で着付けをしたときに表面に出るデザインを想定して作り上げられています。
体型によってどこが見えるようになるかが違うのは確かですが、それでも絵柄がきれいに見えるように工夫したデザインになっているのが一般的です。左前にすることは想定していない場合が多く、着てみるとちょっとアンバランスな模様になってしまうということもあります。
実際に着付けをしてみるとその時点でも気づくかもしれませんが、左前にしても見栄えが悪くないようにできている場合もあるので注意しましょう。着物そのものを飾ったときにも美しく見えるように仕上げているからです。
ただ、襟元の形が少し崩れてしまうことがあり、うなじのあたりを見てみると違いがわかることはしばしばあります。右前か左前かでどんな違いが生まれるのかは実際に着てみて判断してみると面白いでしょう。しかし、左前のほうがよいと思ったとしても、少なくとも人前には出ないようにするのが賢明です。
着物の着付けを自分でするときには前合わせに関する和装のルールに合わせることを意識しましょう。和装では右前にするのが原則になっています。前は現在では前方を意味することが多いですが、昔は手前を意味するのが一般的でした。そのため、右前とは右側の身頃が手前になるように重ねることを意味します。
通常の感性とは逆になってしまっていることが多いので注意しましょう。これは着物を美しく着られるようにするためにも欠かせないことで、一般的には右前で着たときに美しく見えるようにデザインされています。