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着物の上に着る羽織にはどんな種類があるの?

公開日:2020/08/01   最終更新日:2020/08/04

着物の上から羽織って着ることができるのが羽織です。気温の低い日に和服を着る場合でも、寒さから身を守ることができます。冬場は特に和服と一緒に用いられることが多いのですが、着付けを習うときには羽織の種類も一緒に覚えておけば、着付けをするときにコーディネートがしやすくなります。色や形によって、さまざまなタイプがありますが、種類によっては正装として使用できるものもあり、TPOに合わせて選べるのが魅力です。

正装にも使われることがある十徳羽織

十徳羽織は、生地に絽を使うのが特徴です。紐の部分を縫いつけた状態にするのも他の種類のものには見られないものです。腰の周囲に襞が作られていることもこの種類の特徴で、他のものとは大きく異なる独自の形状になっています。広袖という名称が使われることもあります。このタイプのものが使用されるようになった歴史は古く、すでに鎌倉時代から庶民に使われていました。

その頃は平装用として着られることが多かったのですが、江戸時代に入ると使われ方が変化します。特定の職業の人の正装として着られるようになり、医者や学者のほかに絵師などの正装にも用いられています。男性が主に着用するタイプのものですが、コーディネートの方法にも特徴があります。着流しの状態で上から着られることが多いのですが、着流しとは袴をはかないで和服を着ることです。

武士は袴をきちんとつけるのが正装とされていたので、こうした羽織の着方は主に町人の間で流行しました。茶道の世界でも着られることがあり、茶道の流派によっては着流しの上から着ることが、正装であると定められている場合があります。現在でも茶道の世界では広く使用されていて、欠かせないものになっています。

丈が長い長羽織と丈が短い短羽織

女性用の羽織にもさまざまな種類があります。丈の長さによってもそれぞれ種類が異なっており、縦の方向に長いのが長羽織です。このタイプのものは、膝のあたりまで生地があるのが特徴で、和服の上から着たときに体全体をおおうことができます。気温が下がる冬などは防寒用としても広く使われていました。

このタイプのものが、女性にも一般的に着られるようになったのは明治時代になってからです。それまでは女性が和服の上から着るのは、打掛という衣類が一般的でした。打掛は着物よりも一回り大きめに作られた衣類で、中に綿が入っている部分があるために厚みがあります。

室町時代ごろから広く着られるようになりましたが、現在では結婚式でよく使われています。打掛は女性の正装であるのに対して、羽織は一部のものを除いて女性の正装ではないという違いもあります。長い丈のものが流行したのは大正時代までで、その後は逆に短い丈のものが流行しました。

短い丈のものを短羽織と呼んでいて、生地の面積も少なく、腰のあたりまでしかおおわれていないのが特徴です。和服の上から着ても、帯が隠れる程度の非常に短いものが流行しました。生地が少ない分、防寒には向いていませんが、ファッション性が優れたものとして人気がありました。このタイプのものが流行したのは昭和30年代のことですが、21世紀になって再び、長いタイプのものが流行したことがありました。

女性の正装として使用できる黒紋付羽織

女性用のものの中には、正装として使用できるタイプのものもあります。それが黒紋付羽織です。紋がついているのがこのタイプの特徴で、男性用のものも正装として着ることができます。紋付は男性用と女性用で種類に違いがあり、男性用のものは色が黒のものとそれ以外のものの2種類です。

女性用のものは黒紋付と色紋付以外に、絵羽織という種類があります。これは生地に絵が描かれているのが特徴で、女性が着るのにぴったりな華やかなデザインです。紋がついている場所もデザインによって異なっていて、袖や背中などの部分につけられるのが一般的です。紋の数も異なっていて、1つだけ紋がつけられているタイプのものや、3つ紋がつけられたタイプがあります。

絵が描かれているタイプのものは、紋が入っていない種類のものもあります。黒紋付が女性に広く着られていたのは明治時代から昭和50年代ごろまでです。結婚している女性が着る正装として、子供の入学式や卒業式に出席する母親が、多く着用していました。

 

着物の上から着ることができる羽織にはさまざまなタイプがあります。鎌倉時代から着られていたのが十徳で、他のタイプのものとはデザインが大きく異なっているのが特徴です。主に男性に使用されていて、江戸時代には医者や学者の正装とされていました。茶道の世界でも正装として使用されていて、現在でも茶の席で使われています。

女性用のものは、明治時代から一般的に着られるようになり、明治から大正時代に流行したのが、裾が長いタイプのものです。膝のあたりまで長さがあったので、防寒用としても最適でした。昭和30年代になると丈の短いものが流行して、帯が隠れる程度の長さのものが人気がありました。黒紋付は女性の正装として着ることができます。

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