着物の衿には種類があるって知ってた?それぞれの特徴や違いを紹介!
着物の衿には実はいくつかの種類があることをご存じでしょうか。着付けに興味がある方、着物を習いはじめたばかりの方など、まずは着物の基礎知識を覚えたいと思っているのであれば衿の種類について覚えておいて損はないでしょう。ここでは着物の衿の種類とそれぞれの特徴について解説します。
衿のパーツの名称をおさらい
着物の衿は3つのパーツに分けられ、それぞれに呼び名があります。まず首に接する部分は掛け衿というのです。掛け衿は衿元の布を補強するためにつけられています。また、汚れてしまったときには外して洗えるようになっています。
地衿は、衿のベースとなる部分のことです。本衿とも呼ばれます。衿の先端部分は衿先と呼びます。ちなみに半衿は、襦袢に縫い付けられた衿のことで、着物をよりおしゃれに着こなすために役立つ小物です。半衿は何度か着て汚れたら取り外して洗濯し、また縫い付けて使います。半衿にはスタンダードな白い半衿から、礼装にも使うことのできる刺繡半衿、カジュアル向けの色柄半衿などさまざまなデザインのものがあり、ファッションアイテムとしても使われています。
大正時代は半衿のおしゃれがもっとも注目された時期で、東京では華やかな柄が、大阪ではすっきりした柄が人気になりました。昔から衿はおしゃれに敏感な人たちの間で注目されていたのです。着物には半襟のほかにも帯揚げ、帯締めなどさまざまな着付け小物があります。お気に入りの小物を集めたり、組み合わせを楽しんだりできるのも着物の魅力といえます。
もっともスタンダードな広衿
広衿(ひろえり)は、衿の中でもっともスタンダードなものです。衿の幅はおよそ11センチ~11.5センチで、バチ衿や棒衿と比べると2倍ほどの幅になります。広衿は着付けの際に半分に折って、衿幅を好きに調節できます。広衿は体型が変わっても着付けで調整できるという利点があるのです。また、身体にピッタリ合わせて着付けるため、着崩れが起こりにくく胸元もはだけにくくなります。
広衿によって胸元に程よいボリューム感を出し、ふっくらと上品に見せられます。正絹で仕立てる女性の正装用の着物は基本的に広衿で仕立てられるのです。着付けの際は、後ろ衿にある衣紋という部分を二つ折りにします。広衿には半分に折りやすいようにスナップボタンがつけられているものもあります。スナップボタンのついていると、衿が乱れにくく初心者でも着付けしやすくなるのです。スナップボタンがついていない場合は引き糸で縫い留めて着用するのもおすすめです。
スナップボタンは錆びが心配という方もいるかもしれませんが、最近では錆びない素材を使ったスナップボタンを使った着物も増えています。「着付けにまだ慣れていないから、広衿の着物をきちんと着付けできるか不安」という方も、今は着付けが簡単になる工夫の施された着物もあるので、呉服屋さんに気軽に相談してみるとよいでしょう。
三味線のバチに似ているバチ衿
バチ衿は、衿先に向けて幅が広くなっている衿です。先に向かうにつれてゆるやかに幅が広くなっていく衿の形が三味線のバチと似ているため、バチ衿と呼ばれます。バチ衿の幅は衿肩まわりがだいたい5.7センチ程度で、衿先は7.6センチ程度になります。衿幅が小さいため、首回りをすっきりと見せられるのです。
また、厚みがないので涼しく感じます。バチ衿はウールや木綿といった素材で作られたカジュアル着物、浴衣、長襦袢の衿といった、気軽に着ることのできる着物で多く採用されています。バチ衿は衿の幅が決まっているので、着付けに不慣れな人や時間をかけずに着付けをしたいという人にもおすすめです。浴衣は季節感を演出することもできて人気の装いです。
着物の着付けに慣れていない人でもバチ衿の浴衣は簡単に着られます。普段、着物を着る機会がほとんどないという方も、浴衣であればハードルが低いのではないでしょうか。浴衣は自宅で洗濯できるポリエステルや綿などの素材で作られているものが多くという点も気軽に着られるポイントです。この夏は、浴衣を着てお祭りや花火、夕涼みに出かけてみることを検討してみてはいかがでしょうか。
子ども用や男性用の着物に多い棒衿
棒衿(ぼうえり)は背中心から衿先までが同じ幅の衿で、幅は5.7センチ程度です。棒衿は衿のなかでもっとも幅の狭い衿になります。棒衿は女性用の着物には向かず、子ども用の着物や男性用の着物に多く採用されています。どの衿であっても着付けの際は衿が浮かないように着付けるのが美しく見えるポイントです。
まとめ
着物の衿の種類には、ほかにも着物を重ねているように見せる伊達衿や比翼衿といった小物もあります。着物を着ていく場所やシーン、相手に合わせて衿も最適なものを選ぶことができれば着物おしゃれの上級者といえます。着物を着こなすうえで、とくによく見える部分である衿は重要なポイントです。こちらで紹介した内容も参考にしながら、その日に一番合った衿を選んでみてください。