
着物をより美しく見せるための所作のコツを紹介
着物を着用するときには、細かな所作に気をつけることで、より自身や着物を美しく見せることができます。そこで本記事では、着物の着用時に気をつけたい所作のコツについて詳しく解説します。基本的な所作や、シーン別におさえたい所作についてまとめてお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
基本的な着物着用時の所作のコツ
着物を美しく着こなすためには、立ち方や歩き方、座り方など、基本的な所作が大切です。それぞれの所作には、着物ならではの美しさを引き出すポイントがあり、日常の動きとは異なる意識が求められます。
立ち方
まず、立ち方についてです。着物を着るときは、背筋をピンと伸ばして立つことを心がけましょう。頭の上に糸がついていて引っ張られているようなイメージを持つと、自然に姿勢が整います。
手の位置も重要で、立つときには手を体の前で重ねて持つのが基本です。手を後ろに回したり組んだりせず、体の正面で静かに合わせることで、清楚で品のある立ち姿になります。
歩き方
次に、歩き方についてです。着物で歩くときには、小股で歩くことを意識しましょう。普段のように大きな歩幅で歩くと、裾が引っかかってしまうことがあり、転倒の原因にもなります。
草履やブーツを履くときには、引きずったり足音が大きくならないように気を付けることも重要です。特に草履は和装に欠かせないものですが、歩く音が響きやすいです。そのため静かに、かつまっすぐ足を出して歩くことで、上品な雰囲気を保つことができます。
階段・段差の上り下り
階段や段差を上り下りする際には、少し工夫が必要です。着物の右前部分を軽く持ち上げて、足元を確認しながら一歩ずつ進みましょう。この際、腰を少し落として重心を安定させると動きやすく、転倒を防ぎやすくなります。
また、足首があまり見えないようにすることも、美しい所作を保つためのポイントです。着物は、足元がちらりと見える程度が理想的とされ、余計な部分が見えないことで控えめで優雅な印象を与えます。
椅子に座るとき
椅子に座るときの動作にも気を配りましょう。座る前に右前の裾をつまみ、少し持ち上げてから腰を下ろします。座る際には、椅子の背もたれに帯が潰れてしまわないよう、浅く腰かけるのがポイントです。
深く座りすぎると帯が崩れるだけでなく、背中のラインが乱れてしまうため、浅めの座り方が着物のシルエットを美しく保つコツです。このときも、背筋を伸ばした姿勢を心がけると、より洗練された印象になります。
乗り物に乗り込むとき
また、タクシーに乗り込むときや電車やバスで座るときにも、基本的には椅子に座る場合と同じように、裾を軽く上げて浅めに座ることが推奨されます。これにより、着物の乱れを防ぎ、移動中でも上品さを保つことができます。
シーン別に見る着物着用時の所作のコツ
着物を着用した際には、シーンごとに適した所作を身に付けることで、より美しく振る舞うことができます。ここでは、食事のシーンや和室での過ごし方、物を拾うときなど、着物姿での基本的な動作について紹介します。
食事の際の所作
まず、食事の際の所作です。着物姿で食事をする場合、特に袖の扱いに注意することが重要です。グラスを取ったり、料理を取り分けるときに袖が料理やお皿に触れてしまう可能性があるため、袖を常に手で抑えるように意識しましょう。
袖を抑えることで、料理や飲み物が着物に付着するのを防ぎ、清潔感を保つことができます。また、食べこぼしや飲みこぼしによって着物が汚れることを防ぐため、普段よりも机との距離を詰めて座るのがおすすめです。加えて、ナプキンやハンカチを膝の上に広げておくと、食べこぼしがあった場合にも素早く対応できます。
和室での所作
次に、和室での所作についてです。着物を着ていると、和室で過ごす機会も多くなります。畳の上で正座をする際には、着物ならではの動作が必要です。
まず、右足を少し後ろに引き、右手で上前(着物の右前部分)を引き上げながら左手で太もものあたりを押さえて腰を落とすと、無理なく美しい姿勢で座ることができます。正座の際には、動作をゆっくりと行うことがポイントです。
ゆっくり足を動かし上前を持ち上げながら腰を下ろすことで、着物が引っ張られることなく、シワもできにくくなります。このような所作を意識することで、着物姿が一層美しく見えるだけでなく、所作にも品が備わります。
物を取る・拾うときの所作
さらに、物を取る・拾うときの所作についても確認しておきましょう。足元に物を落としてしまったとき、着物姿でさっと屈むのは難しいため、慎重な動作が求められます。洋服と違い、着物では裾が動きにくいです。
そのため、まずは右前を引き上げてから屈むと着物が引っかかりにくく、スムーズに動くことができます。右前を引き上げた状態で屈むことで、動きに無理がなくなり、裾が地面に触れることも防げます。これにより、着物を汚さずに物を拾うことができるでしょう。
まとめ
着物を美しく着こなすためには、細やかな所作が欠かせません。まず、立ち方や歩き方、座り方などの基本動作に気を配ることで、姿勢や動きが洗練されます。特に、背筋を伸ばし、手を体の前で静かに合わせることで清楚な印象を与えることが可能です。食事の際は袖を抑えて汚れを防ぎ、和室ではゆっくりとした動作で正座を行うことで、上品さを保ちましょう。また、物を拾うときには裾を引き上げることでスムーズに動けるため、着物を傷めずに美しさを保つことができます。シーンに応じた所作を意識することで、着物姿が一層引き立つでしょう。