
着崩れしない方法・着崩れしない着付けのコツを解説
着物は、長時間着ていたり、大きな動きをしたりすると着崩れしてしまうことも珍しくありません。そこで本記事では、着物が着崩れしないようにする方法や、着崩れしない着付けのコツを詳しく解説していきます。本記事を参考に、着崩れしないきれいな着物の着方を身に着けてください。
着物が着崩れしないようにする方法
着物の着崩れを防ぐためには、その原因を理解することが重要です。主な着崩れの原因は、以下の三つに分類されます。まず、大きな動きが挙げられます。着物は布を体に巻き付けて帯で締めるため、体に沿って着用します。そのため、動作が大きいと布地が広がり、帯がほどけてしまうことがあるのです。
次に、補正が甘いことが原因として挙がりやすいです。着物は平面的に作られているため、凹凸のある肌着を着ると、着物と身体の間に隙間ができて着崩れを引き起こします。洋服用の立体的な下着は、着物には適さないことが多いです。
最後に、着付けが緩いことが挙げられます。着物を着ると窮屈さを感じることがあり、そのために腰ひもを緩めてしまうことも多いです。
しかし、腰ひもは着物を支えるための重要なアイテムであり、緩めると着崩れの原因となります。着崩れを防ぐためには「着付けの道具を見直す」ことが効果的です。まず、腰ひもは滑らない素材や固定できるものを選ぶことが推奨されます。
例えば、コットン100%のものは締めやすく緩みにくいですし、モスリンやゴムバンドもおすすめです。化繊製の腰ひもは緩みやすく扱いが難しいため、使用方法を考慮して使い分けると良いでしょう。
次に、体型補正のために数枚のフェイスタオルを用意し、肩やお腹、腰に巻くことで補正を行います。また、市販の補正下着を活用するのも一つの手段です。これにより、着物と身体の隙間を減らし、より美しい着姿を維持することができます。
着物が着崩れしないようにする着付けのコツ
着物が着崩れしないようにするためには、適切な着付け方法が必要です。以下に、着付けに必要な道具、手順、ポイントを詳しく紹介します。
着付け道具の準備
着物の着付けには、滑りにくい素材の道具を用意することが重要です。主に必要な道具は以下の通りです。
・身に付けるもの:肌襦袢(肌着)、長襦袢(半襟付き)、着物、帯、帯締め、帯揚げ、足袋、補正用タオル(数枚)
・着付けに使う道具:腰ひも(数本)、ゴムベルト、伊達締め、衿芯、帯板、和装用クリップ、コーリンベルト、帯枕
着付けの手順
着物の着方の基本手順は以下のようになります。着物を着る際は、左側の衿が上(上前)、右側の衿が下(下前)になるように合わせることが大切です。
・足袋を履く
・肌襦袢を着用する
・長襦袢を着る(衣紋を抜く)
・着物を羽織り、衿の下を持ちながら裾を合わせる
・左側の前幅を右側に合わせる
・右側を体に沿わせ、裾の角を8cm上げる
・左側を下前にかぶせ、褄先を5cm上げる
・腰ひもを巻く
・前後のおはしょりを整え、背中の中心を合わせる
・衿を整え、下前のおはしょりを内側に折り込む
・コーリンベルトをつけて胸元を固定する
・おはしょりを整え、伊達締めをしめる
・帯を巻く
着崩れしないためのポイント
着崩れを防ぐための具体的なポイントは次の通りです。
・補正用タオル:肌襦袢を着た後、お腹と腰回りにタオルを巻き、腰ひもで固定します。タオルは汗を吸収する役割も果たします。
・裾の調整:裾の角を上げることで、裾がすぼまり、広がりにくくなります。この動作は着崩れを防ぐために重要です。
・腰ひもの位置:腰ひもは胃の上ではなく、腰骨の上に巻くことが重要です。息を吸った状態で締めると、食事時に苦しさを感じることが少なくなります。
・帯の締め方:帯を締める際は、全体ではなく、帯の下部分をしっかり締めることを心がけましょう。これにより、着物の安定感が増し、着崩れを防ぎます。
以上の手順とポイントを守ることで、着物を美しく着こなすことができ、着崩れの心配も減ります。
歩き方次第で着崩れ防止が可能
着物を着ていると、洋服と比べて「ゆとり」が少なく、歩き方によって着崩れが起こりやすいです。そこで、着物を着た際に着崩れを防ぐための歩き方のコツを以下に紹介します。
大股で歩かない
着物を着ているときは、大股で歩くことは避け、小さな歩幅で内股になるように意識しましょう。大股で歩くと、裾がめくれるだけでなく、重なっている上前の部分も乱れてしまいます。小さな歩幅での歩行は、裾をしっかりと保つ助けになり、全体のシルエットを整えることができます。
裾の上前を押さえて歩く
歩く際は、着物の裾がめくれないように、上前の端の部分に手を添えて歩くことが効果的です。この行動により、裾の乱れを防ぎ、歩き方だけでなく、所作も美しく見せることができます。手を添えることで裾の動きをコントロールでき、着物全体の安定感を保つことが可能です。
小さな所作で動く
着物を着ているときは、小さな動作を心掛けることも大切です。例えば、腕を高く上げる動作や腰をひねって振り向くことは避けましょう。腕を高く上げると、袖が帯から出てしまい、腕を下ろしたときに脇がはみ出してしまうため、見た目が良くありません。
また、振り返る際に腰をひねると着物がズレやすくなり、着崩れの原因になります。身体全体で振り返る動作を心がけると、着物の安定感が保たれ、より美しい所作になります。
まとめ
着物はその美しさと伝統的なスタイルから特別な魅力を持っていますが、着崩れしやすいという課題があります。まず、着崩れの原因として、大きな動き、補正不足、緩い着付けが挙げられます。これらを防ぐためには、滑りにくい道具を使い、適切な着付け手順を守ることが重要です。さらに、歩き方や動作にも気を配り、小さな歩幅で動くことや裾を押さえることが効果的です。これらのポイントを実践することで、着物を美しく着こなすことができ、長時間快適に過ごすことが可能になります。自信を持って着物を楽しむために、ぜひ参考にしてください。