袴を履いているときの正しい座り方とは?男女別に解説!
あまり着用する機会のないという方が多い袴ですが、正しい座り方があることをご存じでしょうか。袴を着て出席するイベントや行事でずっと立ちっぱなしということはなく、ほとんどの場合、座るタイミングがあります。ここでは袴を着る前に知っておきたい、袴を着用した際の正しい座り方を解説します。
袴着用時の正しい座り方とは
まず、袴を着用しているときの正座の方法をご紹介します。正座をする際は左足から座り、立つときは右足から立ち始めるのが基本的な作法になります。左足から座る作法は、武士が刀を左腰に差していたので、いつでも刀を抜ける体制を保つということに由来しています。正座をする際は、直立した状態から左足を後ろに引き、左足のつま先を立てます。
次に左ひざを床につけます。左ひざを床に付けるときは体をまっすぐに保っておきます。両手は太ももの上に添えます。右足も左足と同様につま先を立てて左足の横に移動させ、つま先は立てたままで腰を下ろしてかかとの上に座ります。座る動作の際に、袴を膝裏に押し当てながら座ると袴が広がりにくくなります。かかとの上に座ったら最後につま先を崩して、両足の親指を軽く重ねます。右ひざと左ひざの間には拳一つくらいの間隔をとります。手は広げ、膝の上に置きます。正座をするときは袴を少し広げるとシワになりにくくなります。
ただ、引っ張りすぎると帯が緩んでしまうこともあるので気を付けてください。立ち上がる時は、まず両足のつま先を立て、次に右足を立てて片膝立ちになり、そのまま両方の足を伸ばして立ちます。片膝を立てたときに、足元で袴を踏んでいないか確認しましょう。最初につま先を立てると、袴を踏まずに起立しやすくなります。姿勢は常に上体をまっすぐ保つことを意識することで、所作が美しく見えます。
【男女別】袴で正座するときのポイント
袴を着て正座する際、男性は座った時に裾が広がることがあります。その場合は広がった裾を内側に織り込みます。袴の両側にあるスリットから手を入れて中に引き込むことができます。お辞儀をするときは背筋をまっすぐに伸ばしたままお辞儀をします。男性用の袴は背中に腰板をあてているので、背中を丸めてしまうとお辞儀がしづらくなります。
女性の場合は基本の動作をひとつずつ丁寧に行うのがポイントです。正座をする際は右ひざと左ひざがくっつかないよう注意してください。座るときはひざ裏の布を整えると座り皺を予防できます。「正座は足がしびれて苦手」という人もいますが、正しい正座をすることで足のしびれも軽減できます。
背筋をしっかりと伸ばして、重心をやや前寄りにして後ろ側に体重がかからないようにすると、足の血管が圧迫されにくくなり、足のしびれも起こりにくくなります。両足の親指を重ねることも重心の負担軽減につながります。深く重ねすぎると逆にしびれの原因になるので、軽く重ねるようにしてください。
袴着用時の正座以外の座り方
最後に正座以外の座り方についても解説をします。まずは蹲踞(そんきょ)です。蹲踞は力士が取り組みの前に取る両ひざを開いてしゃがむ姿勢です。剣道でも試合の前には蹲踞の姿勢をとります。蹲踞は背筋をまっすぐに伸ばし、かかとに座ります。蹲踞の姿勢は、慣れないとバランスをとるのが難しくグラグラしてしまうことがあります。両膝を大きく広げるとバランスがとりやすくなります。へその下に力をいれ、しっかりつま先で立つのもバランスをとるコツです。
また、次に安座(あぐら)です。安座の座り方に決まりはないので、普段どおり安座を組んで問題ありません。ただ、袴が裾広がりになっているので胡坐を組む際に捲れてしまわないよう気をつけてください。椅子に座るときは袴の後ろを軽く持ち上げて浅く座ります。背もたれに寄りかかってしまうと着崩れしやすくなります。背筋をまっすぐに伸ばし、姿勢よく座ってください。女性は袖が床につかないよう膝においてください。車に座る際は袴の側面にあるスリットから中に手をいれて袴の後ろを軽く持ち上げ、お尻から車にいれて座ります。
その後、袴の前を持ちあげて前向きになるよう身体を回転させて足も入れます。車でもイスに座る時と同様に浅く座るのが着崩れを防ぐポイントです。トイレで座る際は着物の袖や袴の裾を汚さないよう注意が必要です。着物の両袖を帯にはさみ、着物の裾を外側から1枚ずつあげて一番内側にある襦袢で包みます。女性用の行灯袴はスカート状になっているので、裾をまくり上げて座ります。トイレを出る際は鏡で着崩れしていないかチェックしましょう。
まとめ
座り方に気を配ることで、所作が美しくなり袴姿がより一層洗練されて見えます。焦らずゆっくりと基本の動作をひとつずつ行うのがポイントです。背筋は常にまっすぐに保つようにしましょう。正しく座ることで着崩れしたり、袴を汚してしまったりするリスクも減らすことができます。こちらで紹介した内容も参考に、袴を着用する際は座り方を意識してみてください。