紗袷って知ってる?着る時期が限られている着物について解説!
紗袷という着物があることをご存知でしょうか。着物の種類は詳しく知らない人が多いかもしれませんがしっかり理解しておくことが大切です。この記事では、紗袷とはどのような着物のことをいうのか、なぜ着る時期が限られているのかについて説明します。また、紗袷と無双、二重紗の違いも説明するので参考にしてください。
紗袷(しゃあわせ)とは
薄い2枚の生地で仕立てている着物のことを紗袷といいます。夏用の生地には、紗と絽という織物があります。紗は、2本の縦糸に対して横糸を1本ずつ絡めて織られた生地で、絽は、からみ織と平織を混ぜ合わせて織られた生地です。どちらも通気性のよさが特徴です。
紗袷は、紗や絽といった夏物の生地で作られています。紗の生地を2枚重ねるか、紗の生地と絽の生地を重ね合わせ仕立てることから紗袷と呼ばれるようになりました。夏用の薄い生地のため、下の生地が透けて見えるので上品で涼しげな印象を与える着物姿になるでしょう。生地と生地の間に空間ができるので風通しがよく、保温性も兼ね備えています。見た目は涼しげですが程よい暖かさも与えてくれます。
紗袷は訪問着として着用される着物であり、結婚式などのフォーマルな場でも着用することが可能です。紗袷は大正時代の限られた人が着ていたことが始まりのようです。お得意様に売るための商品として呉服屋が提供したといわれています。紗袷は、めったに見かけることはないかもしれません。
レンタルでも取り扱っているお店は少ないので、貴重な着物だといわれています。通常の着物と比べると値段も高いのですが、着物が好きな人たちの間ではとても人気のある着物です。リサイクル着物であれば、高価なものでも5~10万円程度で手に入ります。紗袷を着てみたい人や興味がある人は、取り扱っているお店を探してみてください。
紗袷と無双、二重紗の違い
無双と二重紗とでは、どのような点が違う着物なのでしょうか。それぞれの紗袷との違いについて解説します。
紗袷と無双の違い
無双は、同じ生地を二重にして仕立てた着物のことをいいます。袷の長襦袢の袖が、同じ生地で仕立ててあるので無双といわれるようになりました。紗袷は、紗の生地と紗の生地を2枚重ねるか、紗の生地と絽の生地を重ね合わせ仕立てた着物です。よって、紗と絽を重ねているのか、同じ生地を重ねているのが大きな違いになります。
紗袷と二重紗の違い
二重紗は、裏と表を一緒に織っている物のことをいいます。一枚生地のような織物です。袋状に織られていて風通しがよいことから風通織と呼ばれることもあります。紗袷は、紗の生地と紗の生地を2枚重ねるか、紗の生地と絽の生地を重ね合わせ仕立てた着物です。二重紗は1枚で織られた反物であることから、紗袷と二重紗はまったく違うものでしょう。
また、紗袷は風通しがよく夏らしい印象を与える着物ですが、二重紗は生地によっては少し厚みがあります。秋や冬、春先などに羽織やコートとして着用することも可能です。紗袷と二重紗では、着る時期からもまったく別の物でしょう。
紗袷を着る時期は限られている
基本的には、紗袷は単衣の時期に着るものです。具体的には、5月末から6月頃の夏物を着る前の時期と説明されています。しかし、紗袷が流行したのは大正時代のことなので、正式な決まりはないと判断してもよいかもしれません。単位の時期といっても、現在では気候の変化もあり地域によっても差があるでしょう。また現代では、着物の着こなし方も多様化されています。
紗袷は、汗をかきはじめる時期、袷を着るにはまだ暑い季節などに着ると快適な着物です。5月末から6月なので夏を思わせる魚や紫陽花の柄を選ぶとよいでしょう。紗袷を着るのに向いている機会は、6月の結婚式です。6月は結婚式が行われることが多いので紗袷を選んでみるとよいかもしれません。
また、生地を重ね合わせることで柄がはっきりと見えないようなデザインです。ぱっと見では無地の着物に見えることから、食事会や観劇の際に着るのに向いているでしょう。帯は、夏帯を使用しましょう。長襦袢も夏物を選びます。白い絽の生地がよいでしょう。礼装向きのものを選ぶ必要があります。小物は、絽の帯揚げと夏の帯締めが一般的です。草履も夏の素材を選ぶとよいかもしれません。
紗袷は1年の中でも2~3週間程度の短い期間にしか着ることがない着物です。着る時期が限られているので、誰もが手に入れたくなる着物はないかもしれません。しかし、着る時期が限られていることから、特別であり貴重な着物であるといわれているのです。
まとめ
紗袷は、薄い2枚の生地で仕立てている着物のことをいいます。取り扱っているお店やレンタルもあまりされていないので、特別な着物といえるでしょう。紗袷は夏用の薄い生地のため、下の生地が透けて見え上品で涼しげな印象を与えてくれる着物姿になるでしょう。限られた時期にしか着ることができない着物を楽しんでみるのもよいかもしれません。着物選びに失敗しないように、着物の種類や格式、着る時期についてしっかり理解しておくとよいかもしれません。