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ポリエステルの着物は”悪い”のか

公開日:2020/07/15  

着物の素材にはいろいろな種類のものがありますが、安価な着物ではポリエステルのものが多くあります。しかし「ポリエステルは安っぽく見える」「着心地が悪いのではないか」といったイメージを持つ人もいるでしょう。そこで今回は、ポリエステルの着物の特徴や、実際のメリットとデメリットはどうなっているのかということについて紹介します。

見た目は正絹の着物と変わらないものが多い

ポリエステルとは石油から作られる化学繊維のことであり、一般的な洋服の素材として広く使われている素材です。そのため、多くの人にとって馴染みのある素材といえますが、日本の伝統的な服装である着物に使われているのは意外に感じる方もいるでしょう。

実際にポリエステルの着物が登場し始めたころは、化学繊維独特の光沢感が出て安っぽく見えたり、プリント技術の未熟さで上手く色合いが表現できなかったりといった問題がありました。そのため、昔ポリエステルの製品を見たり身につけたりしたことがある人は、あまりよいイメージを持っていないのかもしれません。

しかし時代とともに、糸の製造法やプリント技術も発達してきたため、最近のものは妙な光沢感が出ることもありませんし、本格的な正絹のものと変わらないぐらいの見た目になってきています。そのため、最近作られたものであれば、安っぽく見えてしまうのではないかという心配をする必要はあまりないでしょう。

ポリエステルの着物のメリットとは

ポリエステル素材の着物のメリットとしてまず挙げられるのは、「値段が安いので気軽に購入しやすい」ということです。正絹のものは、安くても10万円はしますし、高いものだと数十万円以上するものもあるため、普通の人は気軽に買えるものではありません。

しかしポリエステル素材のものであれば、5000円~1万円程度が相場ですし、高くても2万円程度で購入することができます。洋服を買う感覚で購入できるのが魅力だといえるでしょう。

次に、「家で洗濯できる」というメリットがあります。多少汚れてもそれほど心配する必要がありません。とくに着慣れないうちは、思いがけず裾や袖を汚してしまったりすることがありますし、食事の席などでうっかり食べ物を落として汚れてしまうこともあるでしょう。

本格的な正絹のものは、クリーニングに出すと結構なお金がかかるので、ちょっと汚しただけでもショックを受けてしまいますし、できるだけ汚さないように細心の注意を払う必要があります。しかしポリエステル素材の着物なら、家で簡単に洗濯できるためクリーニング代を節約できますし、そこまで汚れがつくことに気を使う必要もありません。

さらに挙げられるメリットは、「色落ちや日焼けによる劣化があまりない」ことです。本格的な正絹の場合は、生地が傷みやすいため、タンスの中にしまっているだけで色落ちすることがあります。ですがこの素材は普通に洗濯できるほど生地が丈夫なので、色落ちもしにくいですし、それに加えてシワもつきにくいため、保管も簡単にすることができます。

ポリエステルの着物のデメリットとは

ポリエステル素材の着物のデメリットとしてまず挙げられるのは、「着心地があまり良くない場合がある」ということです。この素材のものは、正絹のものと比べるとゴワゴワしていると感じたり、身体にフィットしないと感じたりすることがあります。本格的な正絹のものを着慣れた人からすると、着心地があまりよくないと感じることがあるでしょう。

次に挙げられるデメリットは、着付けや立ち居振る舞いの仕方によっては「着崩れしやすくなる」ということです。ただし本格的な正絹のものでも、重くて疲れてしまい、それで着崩れてしまうこともあるため、必ずしも素材だけの問題ではないといえます。ですので、どんな素材のものであっても、着崩れを直す方法や所作に慣れておくことが大切だといえるでしょう。

さらに挙げられるデメリットは、「素材の性質上、夏は熱がこもりやすく、冬は温まりにくい」ということです。この素材は通気性が悪いので、夏になると熱を溜め込みやすくなって、より暑さを感じてしまうことがあります。そして冬は、熱伝導率の関係でなかなか温まりにくいという性質があるため、寒さを感じることがあるといえます。しかし冬場であれば、保温性の高いインナーを中に着ることで寒さを軽減することは可能だといえるでしょう。

また、ポリエステルは化学繊維であるため、「静電気が発生してホコリがつきやすくなる」というデメリットもあります。静電気が発生すると、空気中などのホコリを引き寄せやすくなるので、それで汚れてしまう場合があります。しかし、最近は静電気を防止するスプレーもあるので、気になる場合はそういったアイテムを使って対策をおこなうとよいでしょう。

 

ポリエステルの着物は、かつては化学繊維独特の光沢感などにより安っぽいイメージがありましたが、最近のものは技術の発展により正絹のものと変わらないぐらいキレイなものが多いといえるでしょう。

メリットとしては、値段が安いことや、家で洗濯できること、そして色落ちなどの劣化があまりないことが挙げられます。一方のデメリットとしては、着心地があまり良くない場合があることや、着崩れしやすいこと、そして夏は熱がこもりやすく冬は温まりにくいといったことが挙げられます。

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