帯締めって何?着物に似合う選び方のポイントとは
帯締めは、着付けの最後に帯の中央に締める紐のことで、着物全体の中心に位置するコーディネートの重要アイテムです。色や形、素材、柄によって、着物の印象も変わります。今回は、帯締めについての種類と着物に似合う選び方のポイントをお伝えします。着物の帯締めについて知りたい方はぜひ参考にしてください。
そもそも帯締めとは
帯締めとは、着物の帯を固定するための紐のことで、着付けの最後に帯の真ん中で結ぶ和装小物です。
もともとは、奈良時代に高貴な人々が利用していたもので、「丸ぐけ」と呼ばれる布に綿を入れた筒状の紐が使用されていました。その後、帯揚げと同様にお太鼓結びの登場により帯を支える目的で一般的に普及していき、現在の主流である糸と糸を交互に交差させて組んだ「組紐」で作られるようになりました。
最初は帯の形が崩れることを防ぎ、固定することを目的として着付けに用いられていましたが、現在ではコーディネートとしての役割が大きく、色や柄次第でお洒落に着物を着こなすアイテムとして活躍しています。
帯締めの種類
帯締めには大きく分けて「丸ぐけ」と「組紐」の二種類があります。「丸ぐけ」は袋状の布に綿を入れた紐で、昔は礼装などに使われていましたが、今では普段着や軽いよそ行き用として使用されているようです。
子どもの着物によく利用されていますが、初心者には手に出しにくい帯締めのため、大人のおしゃれ着やアンティーク着物に「丸ぐけ」の帯締めをコーディネートすれば、着物上級者の仲間入りです。現在の帯締めといえば「組紐」で、主に三種類あり格式の高い順に紹介します。
■平組(ひらぐみ)
組紐の中でもっともポピュラーな帯締めで、平らに組まれた組紐のことです。他の組紐に比べて帯と接する面積が広く厚みもあるため、締め心地に安定感があるのが特徴です。代表的なものとして高麗組(こうらいぐみ)があり、良質な糸で編まれた細かな組目の上品な雰囲気の帯締めです。
そのほかにも、笹波組(ささなみぐみ)、唐組(からぐみ)、綾竹組(あやたけぐみ)なども有名です。また、帯留めと組み合わせてコーディネートを楽しみたい人がよく利用しているのが三分紐で、幅が狭くて厚みも薄くなっています。デザインも豊富で、幅が広いものは礼装用に利用されることが多く、幅が狭いものは夏用やおしゃれ着で利用されています。
■丸組(まるぐみ)
丸く組まれていて、自然に結び目が整うために結びやすいのが特徴です。シンプルなものはカジュアルシーンで利用されることが多いですが、華やかに装飾されたものは礼装用として楽しまれています。種類としては四ツ組・八ツ組・江戸組などがあります。
■角組(かどぐみ)
断面が四角になっていて、結ぶのが難しいために初心者には手が出しにくいのですが、カジュアルシーンでよく活用されるようです。代表的なものには冠組(ゆるぎぐみ)があり、生地の厚みと伸縮性のよさが特徴です。比較的結びやすいため、角組の中で選ぶのを迷ったときにおすすめです。他にも、角八つ組や奈良組などがあります。
帯締めの選び方
帯締めは着物に合わせて選ぶのが一般的ですが、次のポイントをおさえておきましょう。
■着物の格式に合わせる
着物はそれぞれのシーンに応じて使い分けますが、帯締めにも格があり、着物の格に合ったものを選びましょう。フォーマルな場での礼装は、白や金銀、または白に金糸や銀糸を用いた組紐で、平組や冠組を合わせるのがおすすめです。礼装でも振袖や花嫁衣裳などを着るときは、格式の高い高麗組や丸組を選ぶといいでしょう。
準礼装には白や淡い上品な色が似合います。カジュアルな場では好みの色や柄の帯締めを選べますが、基本的に礼装よりは細めのタイプが向いています。つまり、幅によっても格の高さが変わるのです。太くなるほど格が高くなるのが帯締めです。帯留めと三分紐の組み合わせでおしゃれを楽しむのもいいでしょう。
■着物のアクセントとして選ぶ
帯締めは着物の中心に位置するアイテムなので、着物の雰囲気を決めるアクセントの役割を果たしてくれます。そのため、着物の色に合わせて選ぶとコーディネートも簡単です。その際に、帯や帯揚げの色とも合わせてコーディネートすると、全体のバランスも整います。
たとえば、着物と帯が同系色の場合は、帯締めも同系色にしてしまうと全体のメリハリがなくなるため、帯の色と濃淡の差をつけたり、帯の柄を強調するような色を選んで帯締めを目立たせたりすることで、全体がしまります。
着物と帯が濃淡の色に分かれている場合は、着物か帯のどちらかの色で揃えるとうまく馴染むでしょう。その際に、着物が柄物の場合は、あまり色を多用してしまうとバランスが悪くなってしまうので、帯揚げと色を揃えるとスッキリとした印象を与えてくれます。
■その他の選び方
基本的に、帯締めは夏冬などの区別はなく、通年使用できるものがほとんどです。夏用にレース調の素材の帯締めもありますが、劣化も早く締まりにくいものもあります。夏には細めのものや涼しげな色を取り入れることで、締まりやすく季節感を演出できます。他の季節で季節感を出したい場合は、帯に合わせやすいシンプルな単色系がおすすめです。とくに冠組は着物を選ばず使用できるため、色数を揃えておくのもよいでしょう。
帯締めは帯を固定し支えるために使われている紐で、昔は貴族や武士が利用していたものが、江戸時代以降に一般的に普及していきました。現在ではコーディネータを楽しむための小物として重要な役割を果たしています。締め心地のよさはもちろんですが、それぞれのシーンに応じた帯締めを選び、お洒落を楽しんでください。