袴の種類について知ろう！男性用の袴についてご紹介！
着物の中でも身近なもののひとつである袴ですが、袴にも種類があることをご存じでしょうか。ここでは袴にはどんな種類があり、それぞれの袴はどのようなシーンで用いられているのか、男性用の袴の形、素材、色柄、袴の着付け方法についてなど、意外と知られていない袴についての基礎知識をご紹介します。
男性用の袴の種類
男性の袴には「馬乗り袴」「行燈袴（あんどんばかま）」という代表的な2種類があります。馬乗り袴は、江戸時代に武士がその名の通り馬に乗る際着用していた袴で、乗馬がしやすいようズボンのように二股に分かれた形状になっています。行灯袴はロングスカートのような形状の袴です。行灯袴の形状は馬乗り袴と比べてシンプルな構造で、主に女学生が学校に通う際の制服として着用していました。大正時代の女子学生が袴に革のブーツを合わせた姿に見覚えのある方という方もいるのではなしでしょうか。
男性が袴を着用するシーン
男性が袴を着用するシーンとしてまず挙げられるのは結婚式や成人式、卒業式などです。袴は第一礼装として認められており、フォーマルな場で着用できます。
また、剣道や居合、弓道など日本の伝統的な技芸の際にも袴が着用されます。お茶などのお稽古事でも袴が用いられています。七五三では子どもが袴を着用することが多いです。
男性用の袴の形や素材、色柄
礼装として用いられるのは裾が広がった三角形の平袴です。袴は使われている素材によってフォーマル度合いが違います。袴に用いられる生地でもっとも格式の高いもののひとつが「仙台平（せんだいひら）」で、礼装用の袴に使われます。仙台平は宮城県仙台で作られる高級な生地で、正式には「精好仙台平」と言います。上品な光沢と張りが特徴で、重要無形文化財としても指定されています。仙台平は皺になりにくく、長い年月が経ってもよさが衰えることがありません。
おしゃれ着としての袴の生地には御召（おめし）という表面に光沢感のある生地や、紬をつかったカジュアルな生地なども用いられます。御召の袴はお茶席などでも略礼装として着用できます。紬は産地によって特徴があり、有名なものには「大島紬」「牛首紬」「結城紬」などがあります。紬の袴は観劇や食事会などで着用できます。木綿で仕立てた袴は動きやすく洗いやすいので作業着に向いています。普段着用の袴には「野袴」という裾が細くなったズボンのような形状の袴もあります。江戸時代に武士が旅行をする際に着用していました。
袴はフォーマル度によって使われる色柄も異なります。もっともフォーマル度が高いのが柄はグレーの縞模様です。続いて色無地、縞模様以外の柄という順でカジュアルよりになります。色無地の色は何色でも問題ありません。芸能などの舞台では袴の横が短くなった袴を着用します。相撲の土俵際で掃除をする人が着用している袴は「裁着袴（たっつけばかま）」と言い、足首がキュッとすぼんでいて動きやすい袴です。江戸時代に伊賀忍者が着ていたことから「伊賀袴」とも呼ばれています。
男性用の袴の着け方
男性用の袴を着る際は、まず長着の帯を一文字に結んで、長着の裾端を結んだ帯のところに内側から折り込みます。端折った周辺はきれいに畳んで、長着がひざ丈くらいになるようにしておきます。袴の上に立ったら前部分を帯に重ねて、後ろに前ヒモを回して帯結びに交差し、再び前に持ってきます。腰の左前部分で前ヒモを交差させたらそのまま後ろにまわし、蝶々結びをします。
袴の腰にあるヘラを帯に差し込んで、腰板をしっかりと腰に密着させたら後ろ紐を前にまわして前で結びます。紐の結び方にもいくつか種類があります。礼装などで使用する一般的な結び方は「横十文字結び」です。右ひもを上にして左右のひもを重ね、前紐の下に入れ込んで重ねた下側を真上に上げて、巻き付けます。もう一方の紐を7～8センチの幅に折り畳み、畳んだ紐を正面中央に置いて下から畳んだ部分を巻き付けるようにして、巻き付けている紐の残りが20センチくらいになったら横十字の形にして上と下がそれぞれ2～3センチでるようにしたら完成です。
「横一文字結び」は普段でも使えますし、お茶など改まった場にも使うことができます。横一文字結びは、下の紐を畳んだ紐の真ん中に巻いていき、余ったひもを横に持ち上げて、袴の前ひもの下に重ね、一文字になった結びを左右対称になるよう整えれば完成です。結び切り（駒結び）は野袴などにおすすめの簡単な結び方で、後紐の左右を前で交差させたら左紐をからげて下から引きあげ、右の紐を上から下におろして、袴紐の下から上に通し、紐を全部上にひきあげて上下の紐を交差させて結び、紐を左右に引いて結び切り、余った紐を両脇の紐にからげて隠して完成です。
まとめ
袴の付け方は文字の説明よりも動画などを見ながらやってみるのが分かりやすくておすすめです。袴はフォーマル度によって適した素材や柄が異なるため、それぞれのシーンにあった袴を着用してください。格式が高い袴ばかりではなく動きやすくカジュアルな袴もあります。こちらで紹介した内容も参考に、和装を楽しんでみてはいかがでしょうか。
