鳥柄の着物は種類が豊富!それぞれに込められた意味と選び方を紹介
着物といえば、どのような模様がおもい浮かぶでしょうか。着物を着ている場面は、成人式や結婚式などおめでたいときが多いでしょう。なかでも鳥柄は着物や帯の柄として種類が豊富にあります。鳥柄に込められた意味と着用する場面に合った鳥柄の選び方について紹介します。季節によっても変わるため、参考にしてください。
雀(スズメ)は豊作や繁栄の意味が込められた柄
日本中どこにでも生息し、親しみやすい鳥といえば雀です。雀は「厄をついばむ」といわれ、災難を食べつくして家内安全、子孫繁栄・一族繁栄・五穀豊穣と「寿」「福」「財」といった三つの徳が備わる縁起物とされています。
また、雀がお米を食べるところを見かけたことはありませんか。昔、稲作しているお百姓さんにとって、雀はお米を食べにくる厄介な存在でした。
しかし豊作の年は、雀が食べるくらいのお米に腹を立てていてもしょうがないと、お百姓さんが太っ腹な気持ちになったといわれています。まるまると太ったかわいらしい雀は「豊作」という意味が込められています。
あまりに身近にある雀は縁起がよいと気付くことがなかなか難しいかもしれません。雀柄には華やかなイメージがないと思われていますが、組み合わせる柄や、帯、小物などを艶やかなものにすると印象が変わります。成人式の振袖にも使われています。
鷺(サギ)は初夏にぴったりの清涼感ある柄
鷺(サギ)はペリカン目サギ科に属する鳥類で水鳥の仲間です。長い脚、長いくちばしでほっそりとした姿が特徴の鳥で、鶴にも似ています。水鳥とされているため、水や雪と一緒に描かれている場合が多いですが、季節が限られてしまう場合があります。
鷺(サギ)柄の着物は通年着用できるのが一般的です。水鳥ということで水辺の景色と一緒に鷺(サギ)が描かれている着物は初夏にぴったりで清涼感のある柄となります。雪と描かれている場合は冬に着るとよいでしょう。鷺(サギ)柄よりも生地や一緒に描く柄によって季節を変えることをおすすめします。
また、鷺(サギ)は中国で「路」と同じ音を持ち一路連科(いちろれんか)を連想するため、おめでたい文様とされます。一路連科(いちろれんか)とは科挙の試験に合格することです。日本でも礼装用の着物、帯に使われています。
孔雀(クジャク)は災厄や子孫繁栄を象徴する柄
孔雀(クジャク)はキジ科に属する鳥です。孔雀(クジャク)は雑食性で草や木の実などの植物を食べるほか、害虫や小型の爬虫類なども好んで食べます。強い生命力があり繁殖力も強いことから子孫繁栄の象徴とされています。
また、卵や雛といった子孫を守るために害虫や毒蛇類を攻撃する習性があるため、邪気を払うとして「孔雀明王」とされ仏教の信仰対象となっています。孔雀柄の着物は通年着られ、鳥として全体を描いているものと飾り羽だけを描いたものという2つの種類が一般的です。
孔雀柄は大きく羽を広げて描かれていることが多く、デザインもインパクトがあります。組み合わせる柄次第ではさらに鮮やかになるでしょう。子孫繁栄という意味がある柄ということで結婚式の振袖に選ばれることが多く、厄除けという意味では成人式などにも用いられています。
鸚鵡(オウム)は災厄や子孫繁栄を意味する柄
鸚鵡(オウム)はもともと日本には存在していない外来種の鳥です。鸚鵡(オウム)柄は貿易があったことで使われたといわれています。
奈良時代から用いられるようになったといわれる文様で、正倉院の宝物にも見ることが可能です。皇后の十二単に使われている「向い鸚鵡」は、有職文様(ゆうそくもんよう)のひとつで格のある文様とされています。
有職文様(ゆうそくもんよう)とは、平安貴族の衣装や装飾品などの装飾に用いられた織り文様のことでおめでたい柄として、今でも礼装用の着物に使われています。
夫婦で子育てをする姿が描かれていることから家庭円満、子孫繁栄の意味が込められています。季節が問われない鸚鵡柄の着物は、通年着ることが可能です。
鳥柄の着物を選ぶポイント
鳥柄といっても紹介したようにいろいろな種類があり、柄に込められている意味も異なります。選ぶポイントをどうするか、着る場面によっても着物の選び方が違ってくるでしょう。
ひとつは鳥柄で選ぶ、二つ目は柄のもつ季節感を考えて選ぶ、最後に自分の好きな柄を選ぶということが大きなポイントとなります。選んだ柄が着ていく場面に適しない、季節感がないといったこともありますので、十分に考えて選ぶようにしましょう。
まとめ
鳥にはいろいろな柄があり、その意味や季節も異なります。厄払い、子孫繁栄、豊作など古くから伝えられている意味もありました。鳥柄の着物は一般的に通年着用できますが、鳥と組み合わせた模様で着用する季節も変わってきます。日本は四季があり着物の柄だけでも春夏秋冬が楽しめるでしょう。