
【初心者向け】着物の自装のコツを紹介
着物を自分で着てみたいけど、難しそうで挑戦できていない人は少なくありません。そこで今回は、着物の自装のコツを詳しく紹介します。初心者だからと言って、しり込みする必要はありません。着物を自装する手順を正しく知れば、きっとできるようになるはずです。本記事が、着物を自分で着てみたい人の後押しになれば幸いです。
初心者の自装におすすめの着物
着物は大きく分けて、白い生地に色や絵柄を施す「染めの着物」と、糸の段階で染めてから柄を織り上げる「織りの着物」の2種類があります。どちらの着物も柄の入れ方やデザインによって「格(フォーマル度)」が異なり、着ていく場面も変わります。そのため、初心者の方が自分で着物を楽しむ際には、扱いやすく、気軽に着られる種類を選ぶことが大切です。以下では、特に初心者におすすめの着物の種類を紹介します。
小紋
小紋(こもん)は、全体に同じ柄が繰り返し染められている着物で、普段着やおしゃれ着として人気があります。格式は低めで、街歩きやカジュアルな食事会など、日常的なシーンで気軽に着用できます。柄の種類も豊富で、自分の好みに合わせて選びやすいのが魅力です。
附下
附下(つけさげ)は、訪問着を簡略化したデザインの着物です。柄が縫い目でつながらず、八掛(裏地の裾部分)が別布で、柄の向きがすべて上向きになっているのが特徴です。
以前は訪問着よりも格下とされていましたが、現在ではほとんど同等の格とされています。袋帯を合わせることで、結婚式やパーティーなどのセミフォーマルな場にもふさわしい着こなしが可能です。
色無地
色無地(いろむじ)は、黒以外の単色で染められたシンプルな着物で、地紋(織り模様)があるものと無地のものがあります。紋の有無や数によって格が変わるのが特徴で、一つ紋はセミフォーマル、三つ紋・五つ紋はフォーマル、紋なしはカジュアルとして使い分けることができます。帯や小物の選び方によって印象が大きく変わるため、幅広いシーンに対応できる万能な一枚です。
紬
紬(つむぎ)は、糸を先に染めてから織り上げる織りの着物で、全国各地にさまざまな産地があります。軽やかで素朴な風合いが特徴で、普段着やおしゃれ着として愛用されています。有名な産地には大島紬、結城紬、牛首紬、米沢紬などがあり、それぞれの土地の技術や素材によって独特の質感が楽しめます。
着物を自装する手順
着物を自分で着るためには、まず必要な道具を揃え、正しい手順を踏むことが大切です。初心者でも段階を追って行えば、自分で着付けを楽しむことができます。
着付けに必要なもの
準備として必要なものは、着物と長襦袢(半衿付き)、帯、足袋、肌襦袢、裾除け、腰紐6本、伊達締め2本、衿芯、帯板、帯枕、クリップ(大1・小1)、補正タオル(必要に応じて)などです。外出時には、草履やバッグ、羽織も用意するとよいでしょう。
自装の手順
着付けの前には、長襦袢に半衿をつけ、衿芯を通して形を整えます。また、帯枕に帯揚げをかけ、着物を前日に出して風通ししておくと、シワが取れ美しい仕上がりになります。
実際の着付けは「下着」「長襦袢」「着物」「帯」の順で進めましょう。まず足袋を履き、肌襦袢と裾除けを身につけます。次に長襦袢を羽織り、衿先を整えながら衣紋(えもん)を抜き、胸紐と伊達締めで固定します。衿合わせの位置を丁寧に調整することで、首元がすっきり見えることでしょう。
次に着物を羽織り、衿を長襦袢に沿わせて体にフィットさせます。下前・上前を重ねて腰紐で留め、おはしょり(腰の折り返し部分)を整えましょう。その後、胸紐をかけて形を保ち、伊達締めで固定します。背中のシワをしっかり取ることで、後ろ姿も美しくなります。
帯を締める際は、まず帯板をつけてから帯を2周巻き、手先をクリップで固定しながら形を作るのが大切です。帯枕を背中にあて、帯のふくらみ(お太鼓)を整え、帯締めと帯揚げで全体を締めます。最後に仮紐を外せば完成です。
着物を自装できるようになるための方法
かつては親から子へ自然に受け継がれていた着物の着付けですが、現代では洋服文化が主流となり、自ら学んで身につける必要があります。着付けを学ぶ方法にはいくつかあるので、自分に合ったものを選びましょう。
本
「本を読んで学ぶ」方法は、レッスン代がかからず、自分のペースで学習できるのが大きな利点です。時間や場所を選ばず、繰り返し確認できる点も魅力ですが、写真や図だけでは細かい動きや手順が分かりにくいという課題があります。
動画
次に「動画を見て学ぶ」方法は、YouTubeなどの無料コンテンツを活用して、自分の都合のよいタイミングで学べるのが特徴です。何度でも見直せるため理解を深めやすい反面、配信者によって内容の質や正確さに差があるため、信頼できる動画を選ぶ必要があります。
着付け教室
着付け教室で学ぶ方法は、資格を持つ講師から直接指導を受けられる点が最大のメリットです。通う手間はありますが、実際の動作を体験しながら学べるため理解が早く、美しい着姿やマナーも身につきます。結果的に、最も効率的で確実に技術を習得できる方法といえるでしょう。
まとめ
着物の自装は一見難しそうに感じますが、正しい知識と段階を踏めば、初心者でも美しく着こなすことができます。まずは小紋や紬など、扱いやすくカジュアルに楽しめる着物から始めるのがおすすめです。必要な道具を揃え、基本の手順を丁寧に実践すれば、自分で着物を着る喜びを感じられるでしょう。学び方も本・動画・着付け教室などさまざまあり、自分に合った方法でスキルを磨くことができます。自装を習得すれば、季節や行事に合わせて自由に和装を楽しめるようになり、日常に華やかさと日本の伝統美を取り入れられるはずです。勇気を出して一歩踏み出し、自分の手で「和の装い」を完成させてみてください。



















