
着物に合うピアスの選び方
一般的には「着物を着るときのピアスはマナー違反」とされがちです。しかし、友人との交流などTPOをわきまえて着物にピアスを合わせれば、一味ちがうファッションを楽しめます。本記事では、着物に合うピアスの種類と、その特徴を解説していきます。一風変わった着物ファッションをしてみたい人必見です。
着物を着るときにピアスがマナー違反といわれがちな理由
ピアスの着用がマナー違反とされる背景には、伝統的な着物文化と西洋的なアクセサリー文化の違いがあります。
着物が一般的だった時代には、装飾品としては櫛やかんざしといった髪飾りが用いられる程度で、それ以上の装飾は不要とされてきました。着物の美しさは、たたずまいや仕草など自然ににじみ出る「侘び寂び」によるものとされ、実用性を重視した和小物が好まれました。
このため、ピアスのようなアクセサリーは歴史の浅い西洋文化に属するものとして異質とみなされ、とくに格式の高い場面では好まれない場合があります。こうした理由から、着物にピアスを合わせることは伝統にそぐわないと考えられてきました。
近年はTPOに応じて許容されやすくなっている
一方で、近年では「着物をもっとカジュアルに楽しむ」という考え方が広がり、京都など観光地を中心に着物を日常的なファッションとして取り入れる人々が増えています。
この流れのなかで、ピアスやイヤリングの着用もTPOに応じて許容されることが一般的になってきました。フォーマルな場でなければ、ピアスがマナー違反だと頭ごなしに否定されることは少なくなっています。ただし、場の雰囲気や集まる人々の年代によっては、慎重な判断が求められます。
若い世代が中心のカジュアルな集まりでは、ピアスを用いたおしゃれが問題視されることはほとんどありませんが、とくに伝統を重んじる人々が多い場では無難な選択が重要です。
成人式・結婚式などではより慎重な判断が必要
成人式や結婚式といった正装が求められる場面では、より慎重な判断が必要です。
振袖はそれ自体で華やかであり、余計な装飾を加える必要はありません。そのため、成人式ではフォーマルさを損なわない小ぶりで控えめなピアスであれば許容されることがあります。卒業袴を着用する際も、派手すぎないアクセサリーを選ぶのが無難です。
結婚式ではさらに注意が必要で、年齢や文化的背景が異なる多様な人々が集まるため、ピアス自体を避けたほうが安全な場合があります。一方で、ピアスホールをそのままにしておくことが失礼とされる考えもあるため、迷った場合は主催者や出席者に相談するのがよいでしょう。
着物に合うピアスを紹介
着物に似合うピアスを選ぶ際は、華やかで上品な着物に調和するよう、小ぶりでシンプルなデザインを選ぶのがポイントです。
華美な装飾を重ねるのではなく、着物のもつ和の趣を引き立てる控えめなアクセサリーが望ましいでしょう。さらに、着物の格やTPOを考慮し、全体のコーディネートを完成させた上で最後にピアスのデザインを選ぶことが大切です。
着物に合う具体的なピアスの例として、大正モダンな和柄、古典的な和柄や和モチーフ、そして真珠が挙げられます。
大正モダンな和柄ピアス
くるみボタンのように大正モダンな布を使用したデザインは、和装と洋装の両方にマッチします。
ちりめん生地や着物と同じ素材を使用することで統一感が生まれ、振袖とも自然に馴染みます。ノスタルジックな柄や落ち着いた色味を選ぶことで、耳元を控えめに飾ることが可能です。
古典的な和柄や和モチーフのピアス
遊び心を加えたい場合には、組み紐や水引きをモチーフにしたピアスがおすすめです。
これらは控えめな光沢と和の趣を備えており、訪問着などにもぴったりです。また、和紙や千代紙で作った小さな折り鶴などの紙細工を取り入れると、とくに振袖や浴衣のような華やかな装いに映えます。
これらのピアスは色の選択肢が多く、着物に合わせたコーディネートが可能です。とくに夏祭りの浴衣には、素材を工夫することで可愛らしさも大人っぽさも表現できます。
真珠のピアス
冠婚葬祭を問わず無難とされる真珠は、格式ある着物との相性がよいジュエリーです。
桜色や黒色の真珠を選ぶことで、着物の色や格に合わせた微妙な色味の調和を楽しめます。手軽に真珠の雰囲気を楽しみたい場合は、コットンパールも便利です。
ただし、留袖などの正式な装いには真珠のピアスをマナー違反と感じる方もいるため、場合によってはピアスをつけない選択も必要です。
まとめ
着物にピアスを合わせることは「マナー違反」とされがちですが、TPOをわきまえることで新たなファッションの楽しみ方として浸透しつつあります。伝統的には着物に装飾品は不要とされてきましたが、現代ではカジュアルシーンや若い世代が集まる席ではピアスが許容される場合もあります。とくに、シンプルで控えめなデザインのピアスを選ぶことで、着物の魅力を引き立てつつおしゃれを楽しめます。おすすめのピアスとして、大正モダンな和柄、古典的な和モチーフ、真珠のピアスが挙げられます。大正ロマンを感じるデザインや組み紐を活かした和の趣のあるものは着物と調和しやすく、真珠は冠婚葬祭にも対応する上品さをもちます。格式や場に応じて慎重に選べば、ピアスを活用した着物ファッションで個性的かつ洗練されたスタイルを楽しめます。