
着物をもっと楽しむために!着物コートの種類と選び方

着物を着て出かけるとき「上に何を羽織ればいいの?」と迷う方は多いのではないでしょうか。洋服のようにジャケットを合わせるわけにもいかず、気温や場面に合った羽織もの選びは意外と悩みどころです。そこで本記事では、代表的な着物のアウターの種類と、それぞれの特徴・選び方を紹介します。
伝統と気軽さを両立する「羽織」と「羽織紐」
羽織は、着物のアウターといえば真っ先に思い浮かぶ定番の一枚です。もともとは男性が防寒用に着ていたものが、江戸時代後期から女性の間にも広まりました。現在では普段着から略礼装まで、幅広いシーンで活躍しています。
一年を通して楽しめる万能アイテム「羽織」
羽織は、前を合わせずに羽織紐で軽く留めるスタイルが特徴です。洋服でいえばカーディガンやジャケットのような存在で、室内でも脱がずに着ていられます。丈の長さによって印象が変わり、膝下まである「長羽織」は落ち着いた雰囲気に、短めの丈は軽やかで動きやすい印象になるでしょう。
また、素材によって着られる季節も異なります。袷や透けない単衣仕立ての羽織は秋から春、紗やレース素材の羽織は春から夏の終わりにかけて快適に着られます。
コーディネートを引き締める「羽織紐」
羽織を留めるための「羽織紐」も、おしゃれのポイントになります。帯揚げや帯締めの色と合わせたり、差し色として使ったりと、コーディネートのアクセントにぴったりです。房飾りのついたタイプや、金具付きで着脱しやすいタイプなど、デザインの幅も広がっています。
カジュアルからお出かけまで!気軽に羽織れるアイテムたち
近年は、着物をもっと自由に楽しむ方が増えています。そんな中で人気を集めているのが、カーディガンやショールなど、洋服との相性もよい羽織ものです。少し肌寒い季節に、気負わず取り入れられるのが魅力です。
普段着にもぴったりな「カーディガン」
カーディガンは、着物にも合わせやすいアイテムです。袖口や帯まわりがゆったりしていれば、洋服用のカーディガンでも問題ありません。軽く羽織るだけで体温調節ができ、気軽なお出かけや散歩にも便利でしょう。なお、柔らかいニット素材を選ぶと、着物の上からでも動きやすく、やさしい印象になります。羽織よりもラフに着られるため、着物ビギナーにも人気の高いアイテムです。
上品さを演出する「ショール」
ショールは、肩にかけるだけで装いが華やかになる便利な小物です。ウールやカシミアのショールは防寒にも優れ、寒暖差のある季節に重宝します。また、薄手のシルクショールやレースショールなら、春や秋の軽いお出かけにもぴったりです。和洋どちらにも使えるデザインを選べば、日常使いにも活躍します。手軽に着脱できるので、荷物を減らしたいときにもおすすめです。
きちんと感を出すなら「コート」
着物用コートは、寒い季節に欠かせない防寒アウターです。袖や帯をすっぽり包むようにゆったりと仕立てられており、洋服用コートよりも着物に合わせやすいのが特徴です。また、最近は洋服と兼用できるデザインのものも多く、冬の街歩きにもなじみやすくなっています。室内では脱ぐのがマナーですが、玄関先や外出先で羽織るだけで品よく見えるアイテムです。
フォーマルにも映える和装コートの魅力
きちんとした場やフォーマルな席では、道中着や道行コートなど、伝統的な和装コートが活躍します。これらは見た目にも上品で、着物姿をより引き立ててくれる存在です。
粋で洗練された印象の「道中着」
道中着は、前を合わせて紐で結ぶタイプの和装コートで、すっきりとしたシルエットが魅力です。元々は外出用のアウターとして誕生しましたが、近年では街着としても人気があります。フォーマルな場ではやや控えめとされることもありますが、上質な素材や落ち着いた色柄を選べば、訪問着や付け下げなどにも違和感なく合わせられます。おしゃれ着としても使える万能な一枚です。
上品さが際立つ「道行コート」
道行コートは、衿元が大きく開いた独特の形が特徴で、顔まわりをすっきりと見せてくれます。クラシックで上品な印象から、茶道や式典に愛用する方も多いアイテムです。無地やぼかし、絵羽柄のような控えめなデザインを選ぶとフォーマルにも対応でき、色柄のあるタイプならおしゃれ着にも使えます。道中着と同じく室内では脱ぎますが、脱いだ姿まで美しく見せてくれる和装ならではのコートです。
雨の日にも安心の「雨コート」
雨コートは、水をはじく素材で作られた着物用のレインコートです。大切な着物を濡らさないよう、裾までしっかり覆える丈の長いものを選びましょう。一体型の一部式タイプと、上着と裾除けが分かれた二部式タイプがあり、用途によって使い分けられます。撥水加工が施された生地なら、突然の雨でも安心。季節を問わず使える便利なアウターです。
まとめ
着物のアウターには、季節やTPOに合わせて選べる多彩な種類があります。軽やかに羽織れる羽織やショールは日常使いに、フォーマルな席には道中着や道行コートを合わせることで、装いの印象が一段と引き立ちます。一年を通して楽しむなら、袷または透けない単衣の羽織と、薄手の透ける素材の羽織を用意しておくと便利です。どのアイテムも「防寒」だけでなく、「着物姿をより美しく見せる」大切な役割を持っています。その日の天気や目的に合わせて羽織ものを選べば、着物のお出かけがもっと快適で楽しい時間になります。お気に入りの一枚を見つけて、季節ごとのおしゃれを存分に楽しんでみてください。



















