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七五三の着物における被布・熨斗目・四つ身とは?

公開日:2022/08/15  


七五三は平安時代から続く子どもの成長を祝う行事です。大切な節目の祝いには晴れ着できちんと祝いたいですね。しかし七五三の祝い着のことはよくわからないという方が多いのではないでしょうか。ここでは七五三の意味やそれぞれに着用する着物について解説します。普段は耳にしない着物のことや保管の注意などもあわせてお伝えします。

被布(ひふ)は子どもが3歳のときに着用するもの

被布は、着物の上に重ねて着るベストのようなもので、折り衿と、胸の被布飾りが特徴です。

七五三の3歳児は髪置きの儀がはじまり

現在のような七五三の風習が定着したのは江戸時代ですが、七五三のはじまりは平安時代からありました。死亡率が高かった昔は3歳になるまで、今でいう戸籍には登録しませんでした。病気予防のために、子どもは皆、生まれて7日目に髪の毛を剃って坊主頭にしていました。

3歳になったとき、髪の毛を整え伸ばします。白髪に見立てた白糸や綿を置き、長寿祈願をしました。3歳は健やかな成長と長寿を祈る儀式です。従って、被布の刺しゅうにも魔除けである鈴や丸く収まるという意味の毬が多くあしらわれています。

3歳児の祝い着

以前は男女に関係なく3歳、5歳、7歳と節目の成長を祝っていましたが、現在は、3歳児の祝いは女の子が多くなっています。地方によっては、男の子も3歳児の祝いをします。3歳児は、長襦袢・着物・被布を着ます。着物と長襦袢は、出産時に贈られる産着を使用する場合もあります。

その際、袖を丸くして紐の位置を付け替え、肩揚げ、腰上げをします。腕を入れて紐をしめれば着られるという状態にします。着物に兵児帯をしますが、着物の上に被布を着るため現在は兵児帯をしない場合もあります。ぞうりを履き、巾着を持ち完成です。長襦袢の下は肌襦袢を着ますが、肌襦袢の代わりに、首まわりが大きく開いている肌着やTシャツでも大丈夫です。

七五三の3歳で被布を着る理由

3歳児に帯を締めるのは苦しいとの配慮から、着物の上に被布を着るのが一般的になりました。被布は平安時代、公家が着ていましたが、江戸時代には医者や商人なども着るようになり、子どもが着るようになったのは明治時代になってからです。男の子も3歳児は袴よりも負担が少ない被布を着用する場合が一般的です。

熨斗目(のしめ)は男の子が5歳のときに着用する着物の模様

今日で熨斗目といえば、男の子の産着や七五三の祝い着のことをいいます。袖の下部分と腰の周辺に模様をあらわしたものが一般的です。

熨斗目のルーツは室町時代のオシャレ

熨斗目は、元来、経糸に生糸、緯糸に練り糸として平織りした織物のことで、これで仕立てた小袖を熨斗目小袖や熨斗目といいました。江戸時代、武家礼装の裃姿には、紋付熨斗目小袖が規定とされていました。裃の下に着た小袖には、身頃の袖下の位置から腰の部分に一文字に織りだされる腰替りという特徴がありました。これは、室町時代に袴の脇あきから見える小袖の部分を変わり織りにして装飾したことが始まりです。明治時代以降は、男の子の産着や5歳児の袴着の祝い着のことを指すようになりました。

5歳の節目の祝いは袴着の儀がはじまり

袴着の儀とは、5歳になった男の子が、初めて袴を着て正装する儀式で、天下を取るという意味で碁盤の上に立ち吉方に向かって将来の成功を祈るという儀式です。着物の柄も格調高いものや縁起のよいもの、武将の勇壮活発な姿にあやかるような兜や軍配などが多く描かれています。それらは、強くたくましく育つよう願いが込められています。

男の子の産着は5歳の祝い着には使えない?

産着を贈ってくれた祖父母に、七五三の祝い着に着せて見せるというのは以前からよくありました。しかし、それは3歳児の場合です。5歳児には小さいため使えません。4歳の数えで祝うなら、成長の具合では着られる場合があります。しかし、産着は着物の仕立てなので、羽織を着ると背中の柄は見えなくなります。産着を羽織にして使いたい場合は、専門技術が必要な悉皆や着物店に仕立て直しを依頼するといいでしょう。

5歳児の祝い着に必要な一般的なもの

5歳児の祝い着の羽織袴姿に必要なものは、
①足袋
②肌着
③長襦袢
④着物
⑤角帯
⑥袴
⑦懐剣
⑧扇
⑨守り袋
⑩雪駄
です。

四つ身(よつみ)とは女の子が7歳のときに着用する着物

四つ身は、4歳から10歳くらいの子ども用の着物のことをいいます。並幅の反物を身長の4倍の長さを使って仕立てるので四つ身といいます。並幅の反物とは、約36cmの幅の反物です。7歳の祝い着は四つ身の着物を着用します。

女の子の7歳は帯解きの儀がはじまり

帯解きの儀とは、7歳になった女の子が、大人と同じように初めて帯を締める儀式です。それまでは、着物に紐を付けて締めていましたが、7歳になるとその紐をはずして帯を締めるようになるので、帯祝いや紐落としともいいます。

7歳の女の子の祝い着

7歳の晴れ着は、祝い着らしく格調高い柄やおめでたい柄が多く華やかです。健やかな成長や幸せを祈る思いが込められています。

7歳の晴れ着に必要なものは、
①足袋
②肌着
③長襦袢
④着物
⑤帯
⑥帯揚げ
⑦帯締め
⑧しごき
⑨筥迫
⑩末広
⑪草履
⑫バッグ

このほか着付けには帯枕や帯板、紐4本ほどが必要になります。髪飾りも必要です。成人式の着物の小型版のような感じです。

七五三の着物を保管するときに気をつけたいポイント

着物の保管に大切なことは収納場所と保管方法です。着物を着た後、すぐにタンスに入れてしまうと、汗などの水分を含んだまま収納することになり、カビやシミの原因になります。大切な思い出の着物はきれいな状態で保管しておきたいですね。

七五三の着物を着た後は、
①肩揚げや腰上げは解いておく
②ブラシなどでホコリなどを取る
③シミや汚れがないかチェックする
④シミや汚れがあった場合は着物のクリーニングに出す、シミや汚れがなかったら陰干しをする
⑤タトウ紙に包んでタンスに収納する

ということが着物を着た後の収納の手順です。草履やバックは、汚れを落として保管箱に収納しましょう。

着物の保管に向いている桐

着物の保管には、桐のタンスや衣装箱がもっとも適しています。桐は通気性がよく、防虫の効果もあります。桐のタンスがない場合は、桐の衣装箱を購入することをおすすめします。クローゼットにぴったりの桐の衣装箱もあるので、それぞれの家にあった方法を選ぶといいでしょう。

プラスチックの衣装ケースはNG

洋服などを入れるプラスチックの衣装ケースは着物の保管には不向きです。密閉しているわけではないので、空気中の水分に触れカビや変色の原因になることもあります。カビは繊維の中まで入り込むので、一度かびてしまうと、着物をほどいて洗い張りという高額な処理の必要がでてしまいます。

着物のフィルムパックをするという選択

この先数年着る予定がない場合は、着物のクリーニングの一つに高品質のフィルムでパックをして保管するという方法があります。これは、湿気やカビ、虫食い、変色などを防ぐ効力があります。

まとめ

子どもの成長を祝う節目の七五三には、古来よりきちんとした意味があり、祝い着にも子を思う親の願いが込められています。着物は、きれいな状態で保管すると代々着られます。思い出の晴れ着を大切に残してくださいね。

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