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喜如嘉の芭蕉布とは?沖縄で生み出された幻の織物について解説!

公開日:2022/10/15  最終更新日:2022/11/02

高温多湿で蒸し暑い南国沖縄では、琉球王国時代から普段着にも大切な晴れ着としても、芭蕉布の着物は珍重されてきました。沖縄県北部の大宜味村(おおぎみそん)喜如嘉(きじょか)は、沖縄の中でも伝統的な芭蕉布の里として知られています。今回は、喜如嘉の芭蕉布についてどのような織物なのか、その歴史、芭蕉布の着物の特徴を解説します。

喜如嘉の芭蕉布(きじょかのばしょうふ)とは

幻の織物と呼ばれるのが喜如嘉の芭蕉布です。さらりとした肌触りと張りがあり、沖縄の高温多湿の気候でも過ごしやすく、伝統的な織物として珍重されてきました。

喜如嘉の芭蕉布は、現在でも糸芭蕉の栽培から、織物になるまでじっくり時間をかけて、丁寧に手作業で作られている日本でも唯一の織物です。では、どのような工程を経てつくられているのでしょうか。ここで見ていきましょう。

まず、原料となる糸芭蕉の栽培から始まります。糸芭蕉は、バナナの仲間の植物。1本の糸芭蕉が成長するまで約3年かかります。その間、年に3~4回繊維をやわらかくするために、葉と芯を切り落とします。秋から冬にかけて収穫が行われ、成熟した糸芭蕉を切り倒し、茎から皮をはぎ、中の繊維を取り出します。

繊維の種類は4種類。そのやわらかさによって、使われる用途も異なります。やわらかい内側に近い部分から、染色用、着物用、帯・ネクタイ、テーブルセンター用に繊維が分けられていき、繊維の種類ごとにアルカリ性の木灰汁につけて炊き、やわらかくする工程にはいります。

やわらかくなった繊維を竹ばさみでしごいてつややかにする工程を経て、ようやく繊維を1本の糸に。ここまで、気の遠くなるような時間がかかっていると分かりますね。

さらにここから喜如嘉の芭蕉布の特徴でもあるかすり模様をデザインする作業に入ります。かすり模様とは、身近な自然や暮らしの中から生み出される図案です。

思い描いた図案どおりの布にするために必要なかすりの本数と寸法をあらかじめ計算するのですが、そのち密な計算と糸を図案どおりに染めていく作業も丹念に行われていきます。

喜如嘉の芭蕉布に使われる主な天然染料は、琉球藍と相思樹(そうしじゅ)です。それぞれの染料で染め上げ、必要な糸が揃ったところで、織りの工程へと入っていきます。このようにいくつもの工程を喜如嘉の女性たちは一貫して手作業で行い、芭蕉布の伝統を守り続けてきました。熟練の職人技で生み出される喜如嘉の芭蕉布ですが、その伝統の歴史にも迫ってみましょう。

喜如嘉の芭蕉布の歴史

芭蕉布の歴史は古く、15世紀の琉球王朝時代には琉球各地で作られていました。当時の王族や貴族は良質な芭蕉布を着用するため、王府の中に芭蕉当職と呼ばれる役職を設けて王府専用の芭蕉園を管理しました。

琉球王国にとっても、中国や日本に献上する大切な貢ぎ物として重宝されました。その後、時代は進み一般の庶民にも芭蕉布が広まり、沖縄の各地で自家用に生産されるように。

1895年(明治28年)には、無地や縞模様がほとんどだった芭蕉布に、喜如嘉の女性がかすり模様を取り入れたことから、工芸品として発展。喜如嘉の女性たちを中心に農業の副業として芭蕉布の生産が盛んになりました。1939年(昭和14年)には、東京三越百貨店で行われた特産品即売会に出品し、喜如嘉の芭蕉布は広く世間から注目されるようになりました。

それから第二次世界大戦の時期に入ると、生産中止を余儀なくされます。戦時中、航空機を製造する工場として稼働していた倉敷紡績工場では、大原総一郎社長が民藝運動に熱心で、沖縄の文化を倉敷に残そうと沖縄から動員された女子挺身隊に織物について学ぶ機会を与えます。

参加した喜如嘉の平良敏子さんは、戦後沖縄に戻って後進の育成や、新しい作品づくりに熱心に取り組み、芭蕉布の復興に尽力。芭蕉布を工芸の域まで高めていきました。

1974年(昭和49年)には芭蕉布が、国の重要無形文化財に指定されます。2000年(平成12年)には平良敏子さん自身も国の重要無形文化財技術保持者(通称人間国宝)に認定されます。

2022年(令和4年)9月平良敏子さんは101歳でお亡くなりになるまで、喜如嘉の芭蕉布の貴重な技術や文化を後進へ継承されました。長い歴史と伝統の中で脈々と受け継がれてきた喜如嘉の芭蕉布。芭蕉布でできた着物はどんな特徴があるのでしょうか。続けて見ていきましょう。

喜如嘉の芭蕉布でできた着物の特徴

天然の糸芭蕉の繊維でできた喜如嘉の芭蕉布。芭蕉布の着物は、同じ天然繊維の麻とは違った張りがあり、仕上がったばかりの芭蕉布は触るとひんやりと高温多湿の真夏の時期にさらりと着られる織物です。

喜如嘉の芭蕉布の着物は、新古品で100万円から300万円以上とかなり高額なのですが、いくつもの工程を手作業で丁寧に行い、1枚の織物へと仕立てていくため、それだけの値段がつけられるのでしょう。伝統工芸品としても価値が高い着物であると分かります。

天然繊維は、乾燥に弱く、あまりにも乾燥すると繊維が切れやすくなるため適度な湿気が必要です。陰干しをして空気に触れさせ、体に馴染むように着用して適度な湿気を保つように心がけましょう。

また保存の際には、乾燥剤やしょうのうを使用しないように注意します。箪笥の下段は湿度が高いので、綿布の風呂敷に包んで保管する方法もひとつです。長く愛用できるように日頃のケアをして、手に負えない場合は必要に応じてプロに任せるのがよいでしょう。

まとめ

喜如嘉の芭蕉布は、糸芭蕉の天然繊維のさらりとした肌ざわりで高温多湿の沖縄の気候とも相性がよく、織物としてさまざまな用途で愛用されています。戦時中はその技術も途絶えそうな時期もありましたが、平良敏子さんを中心とした喜如嘉の芭蕉布保存会により、全工程を丁寧な手作業で行う日本でも唯一の織物として脈々と受け継がれています。日本の伝統工芸品としても価値の高い織物でしょう。

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