着物の柄の四君子って何?格式高い着物の柄について解説!
着物には、さまざまな文様が表現されていることをご存知でしょうか。おめでたいしるしを意味する吉祥文様というものがあるのですが、今回は吉祥文様の中のひとつである四君子について紹介します。四君子とはなにか、梅・菊・蘭・竹に込められた意味、四君子の着物がおすすめの場面について詳しく解説します。
吉祥文様の四君子(しくんし)とは
着物の柄に使われている吉祥文様は、おめでたいしるしを意味します。式典に出席する際に身に着けることが多い、格式高い柄です。お祝いの際や、節目のプレゼントとして贈っても喜ばれるでしょう。
吉祥文様の中に、四君子と呼ばれる柄があります。四君子とは、梅・菊・蘭・竹の花が揃って描かれている文様のことをいいます。君子の意味は、古代の中国の言葉で、徳が高い人格者、清らかで優れた人のことをいいます。
梅・菊・蘭・竹の4種が君子のような品格を持っていることから、愛されるようになりました。四君子の着物は、七五三で着る着物として選ばれています。七五三で着る着物は、礼装と呼ばれる格式の高い柄を中心に描かれています。七五三はお祝い事のため、縁起がよい柄を選びたいと考える人が多いです。娘に対して、美しく育ってほしい、幸せに過ごしてほしいという親からの願いが表せます。
四君子の梅・菊・蘭・竹に込められた意味
梅・菊・蘭・竹はそれぞれが君子に似た特徴を持ちます。そのため、草木の中の四君子として例えられているのです。四君子の4種の花がなぜ君子に例えられたのか、それぞれに込められた意味を紹介します。
梅
梅は、厳しい寒さの中で、雪の中でも凛々しく咲く花です。古くから中国で愛され、人気を集めてきた花です。梅は冬の終わりから咲き始め、ほかの花と争わないことから、孤高で品格を持つ花といわれています。お香や香水にも使われるほど、高貴な香りを漂わせます。歳寒三友として、松と竹と共に松竹梅の文様としても使われるほどおめでたい花なのです。
菊
菊は、長寿を象徴する植物です。寒さが増す秋ごろに、寒さに逆らうように美しい花を咲かせます。放射線状に咲く花びらは、太陽のようです。菊の花は、桜の花と共に日本を代表する花として親しまれています。
蘭
蘭は、ほのかに香り、静かに美しく咲き誇る花です。百花がしぼみ、草木が枯れ始める秋の終わりに咲き始めます。日本原産の蘭は、西洋蘭と比較すると控えめに咲きます。日本や中国産の蘭は、東洋蘭と呼ばれているのですが、四君子の中の蘭は、東洋蘭をイメージして描かれています。
竹
竹は、1年を通してまっすぐ伸び、曲がることはありません。風や雪にあおられても折れることなく立ち続けます。笹の葉が風で揺れることで音を立て、涼しさを感じさせてくれます。竹は中が空洞になっていることから、腹に二物がないということを示し、まっすぐな心を持つという意味があるのです。常に青々とした葉っぱがしげっていることから君子の風格があるといわれていました。
四君子の着物はおめでたい場面におすすめ
四君子の着物は、おめでたい場面で着ることをおすすめしますが、具体的にどのような場面で着るものなのでしょうか。季節としては通年着ることが可能ですが、柄に込められた意味を考えながら、おすすめの季節を見ていきます。
梅柄の着物は立春まで
梅が咲く季節は1月から3月頃です。梅が写実的に描かれているのならば、正月頃から立春までに着るとよいでしょう。また、梅がデザイン化されている場合や、ほかの季節の花と描かれている場合は、季節に関係なく着ることが可能です。どのように梅が描かれているかによって着る季節が変わるので注意しましょう。
菊柄の着物は季節を先取りして着る
菊が咲く季節は10月から11月頃です。菊が写実的に描かれているならば、菊が咲く季節を先取りして着るとよいでしょう。また、菊がデザイン化されている場合や、ほかの季節の花と描かれている場合は、季節の関係なく着ることが可能です。
蘭柄の着物は冬に着る
蘭が写実的に描かれているならば、冬の季節に着るようにしましょう。とくに正月頃に着ることをおすすめします。蘭は、四君子だけでなく、四友や四愛にも含まれているほどおめでたい花です。
竹柄の着物は冬の季節を表す
竹は、冬の寒い時期でも緑を失いません。そのため、主に冬の季節を表します。竹が写実的に描かれているならば、冬から春の季節に着るとよいでしょう。竹がデザイン化されて描かれている場合は、季節に関係なく着ることが可能です。
まとめ
格式が高く、おめでたい場面で使われることが多い、四君子について紹介しました。4種のそれぞれが君子のような品格を持っていることから、古くから愛されてきたのです。四君子の着物は、おめでたい場面で着用することをおすすめしていて、七五三で着る着物としても選ばれています。四君子の着物は、絵柄が控えめに描かれていることから、普段のおでかけの際に着用してもよいでしょう。四君子に込められた意味を理解した上で、おめでたい場面で着用してみてはいかかでしょうか。