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着物の「格」って何?

公開日:2020/08/15  

和服の着付けを習う際、着付けと一緒に覚えておきたいのが着物の「格」です。和服を着る場合には、どんな場面で着るかによって最適な一着が異なります。フォーマルな場所では格の高い着物、カジュアルな場所では格の高くないものを選んで着ることで、場所の雰囲気に馴染みやすくなります。今回は、着物の格と着用シーンについてお話しします。

既婚の女性が着ることができる黒留袖

着物の中でもフォーマルな場所に最適な一着が、格の高い着物です。フォーマルな場所としてもっとも代表的なものが結婚式で、ゲストとして招かれた女性が着物を着る機会も多いことから、格の高い一枚を選んで着ていく必要があります。

結婚式に着ていけるタイプの和服は、着る人によっても最適な一着に違いがあります。フォーマルな場所でも着る人によっては間違った組み合わせになってしまう場合もあるので、着る前にはあらかじめ注意が必要です。女性の場合には結婚しているかどうかでも最適な一着が異なります。

既婚の女性が結婚式などのフォーマルな場所で着ることができるもっとも格の高い着物は、黒の留袖です。留袖は主に既婚の女性が着る和服ですが、中でもフォーマルな場所で着る最適な一着が黒い色の留袖です。留袖とはもともと振袖よりも短い丈の生地を使用して作られた和服のことを意味していて、脇の部分が縫い付けられているために、振りの部分がないことから留袖と呼ばれてきました。

そのため、本来どのような色でもこのタイプの和服ならば留袖と呼ばれていたのですが、現代では留袖といえば黒い留袖のことを指すことが多くなっています。黒振袖には生地の各所に五つの紋がつけられているのが大きな特徴で、この紋所のことを五つ紋と呼んでいます。

紋所は左右の袖の部分に一つずつついていて、どちらも表袖の部分に紋がつけられています。肩の部分にも紋がつけられていて、左と右の両方についています。残りの一つは背中につけられていて、このような五つ紋がつけられていることも、黒振袖をより格の高いものにしています。

未婚の女性は振袖や色留袖

結婚していない女性が、結婚式などのフォーマルな場所に出席する場合には、既婚の女性とは違うタイプの和服を着るのが正しいマナーです。未婚の女性が着用できる一番格の高い着物が振袖で、丈が長く、袖の部分に振りがついているのが特徴の和服です。

もともと振袖は日常生活でも結婚していない女性が着る和服でしたが、こうした風習はすでに江戸時代から定着しています。現在でも未婚の女性が着ることができる一番格の高い着物が振袖であることから、結婚式などのフォーマルな場所に限らずに、式典などに出席する場合にも着ることが可能な一着です。

和服の中には既婚の女性も未婚の女性も同じように着用できる格の高い一着もあります。それが色留袖で、これは留袖の中でも黒以外の色がつけられているものです。裾の部分に模様が入るのは黒留袖と同じデザインで、既婚の女性の場合には黒留袖についでランクの高い着物になります。

そのために、黒留袖のかわりにフォーマルな場所で着ることも可能で、結婚式などでも人気がある和服です。結婚式では、黒留袖は新郎新婦の両親や親族が着ることが多い服装ですが、色留袖は新郎新婦の親族でない人でも気軽に着ても大丈夫なフォーマルな和服です。

色留袖ならば未婚の女性でも着ることができ、振袖よりも落ち着いた雰囲気の着物を好む若い女性にも人気があります。色留袖でも紋付が五ヶ所についているタイプのものは、黒留袖と同じ程度にフォーマルな服装になります。

フォーマルな場所で着ることができる訪問着

フォーマルな場所以外で和服を着る場合には、格の高くない一着を選んで着たほうが、場の雰囲気に馴染み、粋なスタイルとなります。結婚式よりはフォーマルではないけれども、それに準ずるような場所で着用できるのが訪問着です。訪問着はさまざまな場面で着用できる便利な一着で、フォーマルなパーティに出席するときなどにも使用できます。

パーティではドレスを着るのも素敵ですが、着物ならパーティの雰囲気にかかわらず安心して着用できますね。着ていく訪問着のデザインによっては、留袖と同じくらいフォーマルな服装として着用でき、訪問着のランクを1つあげるのが紋付です。紋付がつけられていることで、普通の訪問着よりもさらにフォーマルな服装になります。

 

着付けを習う場合に一緒に覚えておいたほうが便利なのが着物の格です。場所やシチュエーションに合わせて最適な一枚を迷わず選択できれば、結婚式やパーティの前になって悩むこともありません。

また、カジュアルなシーンでも周囲から浮いてしまう心配がなく、粋に着物を着こなせるでしょう。着物の色やデザインだけで選んでしまい、場所に合わせて格の違う着物を着てしまうと、とくに年配の方からはマナーを疑われてしまう場合もあります。いつでも最適な着物を選べるよう、着物の格は頭に入れておきましょう。

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