道行とはどんなもの?知っておきたいマナーや選び方のポイントとは
着物の羽織ものは選択肢が豊富にありますが、選び方や着方がよく分からないという人も少なくないのではないでしょうか。本記事では羽織もののひとつの道行について、どんなものであるか、脱ぎ方やマナー、選び方のポイントなどを詳しく紹介します。これから道行の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
道行は和装コートの1つ
着物の上に着る羽織ものにはさまざまな種類がありますが、その中でも外出用の和装コートの定番のひとつが道行です。和装コートは襟の形によって分類でき、襟によって格式の高さも変わります。
道行は襟の部分が四角くなっているのが一番の特徴で、羽織や道中着と比べるとややフォーマルな印象になります。基本的には留袖や訪問着などのフォーマルな着物に合わせて着用しますが、色柄によってはカジュアルにも着用できるのです。
道行の脱ぎ方とたたみ方のマナー
道行は外出用のコートのため、室内では脱ぐのがマナーとされています。訪問先では玄関の扉の前で畳み、手に持ってから訪問します。また、レストランなどでは着たまま入店しても構いませんが、席に案内される前に脱ぐほうがよいでしょう。脱ぐときは両手を後ろに回して、肩から滑らせるようにして脱ぎます。脱いだ後は風呂敷などに包んでおくとよいです。
一般的な畳み方の手順は、まずは左に襟、右に裾が見えるように広げます。次に手前側の身ごろを脇線で折り、中央までもっていき、袖だけを手前に折り返します。同様に左側も折りましょう。最後に袖にシワが入らないような位置で、丈を二つ折りにして完成です。羽織ものの着脱は慣れていないと手こずってしまうことも多いため、いざというときスマートに着こなせるよう、練習しておくと安心でしょう。
羽織ものを利用するメリット
羽織ものは防寒に役立つのは当然のこと、それ以外にも以下の3つのメリットがあります。
■着崩れや汚れ防止になる
着物を着て人混みに行くと、帯などが引っかかって着崩れしてしまうこともあります。また、屋外ではほこりやチリなどで着物や帯が汚れてしまう恐れもあるのです。羽織ものを着ていれば、着崩れや汚れを防止できるので、混雑した場所や屋外への外出の際は着用すると安心でしょう。
■失敗した帯結びを隠せる
自分で着付けをするという人は、日によって帯結びの仕上がりが不安な日もあるでしょう。そんなときも羽織ものを着用すれば帯をすっぽりと隠すことができます。とくに羽織であれば、室内でも着用して問題ないので重宝するでしょう。
■コーディネートの幅が広がる
羽織ものは多様な形・柄・素材があり、その日の気分や場面に合わせてさまざまにコーディネートを楽しむことができます。ひとつの着物を羽織ものの合わせ方次第でガラッと印象を変えることができるので、いくつか持っておくと重宝するでしょう。
羽織ものを選ぶときのポイント
基本的に着物の羽織ものの選び方には決まったルールはなく、好みに合わせて自由に合わせることができます。ここでは、選ぶ際の基準になるポイントを3点紹介します。
■色や柄で合わせて選ぶ
基本的には、着物に使われている色の中から一色を羽織の色として選ぶと、全体のバランスが取りやすいといわれているのです。また、着物が明るい色のときは少しトーンを落とした羽織にすると着物が際立つうえ、明るい色を合わせると爽やかで可愛らしい印象になります。
反対に着物が暗めの色のときは、明るめの羽織にすると着物を際立たせることもできるうえ、暗めの色を合わせて全体を落ち着いた雰囲気にするのもよいでしょう。同系色を使って色の濃淡でアクセントをつけるようにするのも、こなれた雰囲気を出せます。
柄で合わせる場合は、たとえば華やかで柄の印象の強い着物の場合は落ち着いた色を合わせるのがおすすめです。とくに黒色の羽織は柄物と合わせるとコントラストがはっきりとして、全体を引き締めてくれる効果があります。おしゃれ上級者の方であれば、柄に柄を合わせてみるのもよいでしょう。
■礼装かどうか
羽織ものの使い分けの際の大きな注意点は、羽織ものには使う場面に応じた格がある点です。羽織ものではもっとも定番である羽織は、基本的にカジュアル向きでおしゃれ着としての意味合いが強いものです。種類を選べばフォーマルな場面にも着用できますが、礼装用に道行をひとつ持っておくと便利です。
■季節に合わせる
羽織ものは素材によってもさまざま種類があるので、冬にはウールなどの温かみのあるもの、夏には絽(ろ)や紗(しゃ)などの涼しげなものをといったように選ぶと、季節感のあるコーディネートになるでしょう。
本記事では和装の外出用コートのひとつである道行について詳しく紹介しました。ポイントとしては、以下の3点が挙げられるでしょう。
・色柄によりフォーマルにもカジュアルにも幅広く着用できる
・外出用コートなので室内では脱ぐのがマナー
・基本的には気分や好み次第で選んで構わない
道行以外にも、着物用の羽織ものには選択肢が豊富にあります。ぜひそれぞれの特徴を知って、和装のコーディネートを最大限に楽しんでください。