紫陽花文様は夏にピッタリ!紫陽花柄の着物の魅力を徹底解説!
紫陽花(アジサイ)は梅雨の象徴で、夏にぴったりの文様です。着付け教室でも評判の柄で、毎年5月下旬から6月ごろに親しまれる定番の文様です。紫陽花は日本原産の花ですが、国民的な人気者になったのは戦後からといわれています。ここでは「古くて新しい」紫陽花についての豆知識と、紫陽花文様を着こなすコツを紹介します。
梅雨の時期に咲く紫陽花とは
雨続きで憂鬱になる梅雨でも、雨に濡れて映える紫陽花は心が和みます。大きく見栄えがするテマリ咲きの品種が有名ですが、シンプルな日本原産種のガクアジサイ、ピラミッド型に盛り上がる花を咲かせるカシワバアジサイなど、多種多様な品種があります。
日本原産種なのに長い間脇役だった
紫陽花は日本原産種です。(アナベルなど北アメリカ原産種もあります)浜辺沿いの自生するガクアジサイが原種で、控え目で愛らしい花を付けます。紫陽花は奈良時代から書物に記載されていましたが、決して主役とはいえない花でした。挿し木で簡単に殖えるためか、江戸時代の園芸業界では儲けにならないためあまり取り扱われなかったようです。星のような八重咲の品種「シチダンカ」は長い間所在が不明でしたが、兵庫県の六甲山周囲で再発見されました。
里帰りした「西洋紫陽花」が人気に
明治になり、紫陽花の魅力に取りつかれたのは外国人でした。医師であり植物学にも詳しいシーボルトは紫陽花を好み、国外追放された際に祖国オランダに紫陽花の苗を持ち帰ります。紫陽花の魅力を知った欧州の人々は品種改良を進め、見栄えがする丈夫で美しい西洋紫陽花を作り上げました。
西洋紫陽花は大正時代ごろから日本に逆輸入され、戦後には全国各地で大々的に栽培が始まります。日本原産種で「梅雨の象徴」「和の定番」といわれる紫陽花ですが、ここまでメジャーになったのは近年に入ってからなのは意外ですね。
実は「花」ではない
「紫陽花の花」だと思っている部分は萼(ガク)と呼ばれる花を支える部分で、本物の花は中央の粒のような丸いところです。紫陽花が長い間枯れずに楽しめるのは、頑丈な萼のおかげ。花の色は植えた土地の土壌が、酸性かアルカリ性かで変わります。アルカリ性だとピンク色、酸性土だと青になり、中には1つの株で赤、青どちらの色が出ることもあります。アナベルなど花の色が変わらない品種もあるので、土壌が不安定な場所ではアナベルを植えるのも一つの選択です。
紫陽花文様の着物・浴衣の魅力
紫陽花文様は着物や浴衣の定番。着られる時期は1か月ほどと限られていますが、ぜひ1着は準備したいものです。じめじめして気落ちしがちな時期に、華やかな紫陽花文様は気分を落ち着かせてくれます。
年齢、嗜好を問わず、誰でも合わせやすい紫陽花文様
紫陽花文様は「小花が散りばめられた文様」なので、デザイン次第で上品にも華やかにもなります。着る方の年齢や嗜好に合わせやすく、着て行くシーンを選びません。色も青色など寒色が多く、不愉快な季節に爽やかさを演出してくれます。中にはピンクの暖色系デザインもあり、手軽に可愛く仕上げることも。紫陽花文様は着物初心者にもぴったりで、誰でも合わせやすい文様です。
帯との組み合わせは補色か同系色で
着物、浴衣の醍醐味は帯の組み合わせ。とくに帯は格式を表すため、着物より1ランク上のものを使うのがマナーといわれています。(これはお呼ばれや会合のときのマナーなので、遊びで着るときは自由に着てくださいね)
帯の色は着物と同系統か、補色だと合わせやすいです。帯の色を紫陽花文様の色に合わせるのも定番。ただ、青系の着物や浴衣に青系の帯を合わせると肌色が悪く見えることもあるので、帯留めやアクセサリーなどを華やかにするなど工夫が必要です。
帯留めはカタツムリやツバメなど
着物の楽しみといえば帯留め。帯留めは遊び心が出やすいアイテムです。梅雨に似合うカタツムリ、子育てで忙しく飛び回るツバメは定番のデザインです。敢えて紫陽花の帯留めを選ぶのも素敵なコーディネイトになります。色合いは少し派手な色合いで、色は着物や帯と補色を選ぶと引き締まります。
紫陽花文様着物や浴衣は夏におすすめ
紫陽花文様は夏の定番です。ただし着物の世界でいう「夏」の季節は5月5日前後の立夏から。実感する季節よりも早いのが特徴です。
紫陽花文様は「立夏」から「夏至」頃
紫陽花文様を着るベストシーズンは5月ごろから7月上旬ごろが一般的。二十四節気の「立夏」(5月5日前後)から「夏至」(6月21日前後から7月6日まで)がおおよその目安です。浴衣ではさらに期間は短く、6月ごろからがよいでしょう。
着物は季節を一歩先取りするのがベストで、季節が過ぎたデザインは避けます。近年は異常気象で梅雨の始まりと終わりが大きく前後することがありますが、よほどの事がなければ「大暑」(7月23日前後)までには片付けましょう。
まとめ
紫陽花文様は夏の代表格です。誰でも合わせやすく、デザインの幅が広いのが特徴なので、初心者から上級者まで楽しめます。上品な青から可憐なピンクまで、さまざまなデザインがあります。雨が多い時期なので着物の濡れに注意することが難点ですが、着物なら水を弾く加工を行うと改善します。帰ったらすぐにタオルで水分を拭き、着物ハンガーに広げて陰干しをしましょう。移動は車や地下道を選び、屋外を避けるのも雨トラブルを避ける秘訣です。