千鳥ってどんな柄?千鳥柄の着物を身につけるのに相応しい季節とは
千鳥と聞くと千鳥格子を思い浮かべるのではないでしょうか?現代でもよく見られる柄ですが、千鳥が連なっているように見えるところから来ています。それでは千鳥って?となりますね。千鳥とは水辺にいる鳥を指し、さまざまな種類がいます。今回は、千鳥柄がどのような柄なのかを調べていきましょう。
鳥をモチーフした千鳥柄とは
水辺の鳥をあらわす千鳥柄ですが、千鳥が飛び群れている様子を文様化したといわれています。主に群れをなすたくさんの鳥を千鳥と呼んでおり、和柄の代表的な文様です。全般的に群れとなって飛ぶ鳥の柄は喜ばれ、描き方もいろいろです。
現代では写実的に表現され、線で表現したものもあります。植物や自然と組み合わせたデザインも多く、着物の柄としても親しまれています。鳥の種類を限定せず漠然とした水辺の鳥を指しているので、描きやすい柄でもあります。千鳥格子になじみがある人は多く、チェック柄として認識している人も少なくありません。千鳥は世界中の水辺に分布している鳥で、日本ではコチドリやシロチドリが知られています。
千鳥柄のバリエーション
千鳥柄のバリエーションは多く、なじみのあるものからあまり知られていないものまでいろいろあります。
千鳥格子
一番なじみのある柄で、チェックを構成する柄が飛ぶ姿に似ていることからこう呼ばれ、欧米では猟犬の牙を意味するハウンド・トゥースといわれています。白地に黒を使ったパターンが多く、コートやジャケットなどによく使われています。
群千鳥
群千鳥は、アシなどの植物が茂るところにたくさんの千鳥が群れている様を文様化したものです。
波千鳥
波千鳥は海の上を連なって飛んでいる千鳥の様で、波間を世間にたとえ、共に荒波を乗り越えていくという意味があります。家内安全など縁起のよい柄として用いられています。
沢千鳥
沢千鳥は、浅く水が溜まったアシや水草が生えている場所で千鳥が群れている様をあらわしています。
このように千鳥柄にはさまざまなバリエーションがあり、ほかにも浜を連なって飛ぶ様の浜千鳥があります。また千鳥を千取りにかけて勝運祈願などの意味があり、縁起のよい柄として親しまれています。色においては白、青、黒との組み合わせがよくマッチし、水と組み合わせた柄が多いため夏物が多いです。柄によっては冬物に適している場合もあります。
千鳥柄の着物を着るに相応しい季節
四季がある日本では、季節ごとにファッションが楽しめます。とくに着物は四季の影響が大きく、四季折々の草花などが柄として使われます。そして伝統文様と合わせることによって、込められた意味が着物の着こなしと共に活きてきます。
衣替えの習慣があるのも四季があるからであって、その時々のファッションは魅力あるものです。着物を着分けるにはルールがあり、それは柄や文様の種類だけではありません。まず袷(あわせ)、単衣(ひとえ)、薄物(うすもの)という着物の種類を知らなければなりません。
袷とは
袷は10月から5月に着用できる着物であり、オールシーズン着用可能となっています。裏地がある着物で、初めて着物を着用する人に適しています。
単衣とは
単衣は6月と9月に着用する着物で、裏地はありません。帯や帯揚げ、小物類は袷と同じものを使います。
薄物とは
薄物は7月と8月に着用する着物で、裏地は付けません。風通しのよい布地として、紗(しゃ)や絽(ろ)などを使います。
このように基本として3種類の着物があり、それぞれ四季に合わせたものとなっています。そして着物を着用するとき、この種類分けのほかに柄や文様を四季に合わせて着る必要があります。つまり四季ごとに相応しい文様があって、春なら桜、夏にはあやめなどといった感じです。もちろん一年中着用できる文様もあり、吉祥文様は代表的なものです。
千鳥柄を着用する季節とは
それでは本題に入りますが、千鳥柄は水辺に生息する鳥をあらわしているので、夏の季節が適しています。但し千鳥柄には「荒波を一緒に乗り越える」という意味があり、勝負祈願や家内安全の願いが込められています。そのようなことから千鳥柄は吉祥文様となるため、通年着用可能となります。
着物の柄に使われている文様には適した季節がありますが、組み合わせや込められた意味によって通年着用可能となる場合があります。昔から受け継がれてきた風習であっても、現代は何でもアレンジできる時代なので、自分の感性で着用するのもよいかもしれません。
まとめ
千鳥柄についてご紹介しましたが、いかがでしたか?千鳥柄と聞くと、やはりかわいい鳥をイメージしますが、伝統文様のひとつであるのは確かです。そのため込められた意味があり、見た目だけで着用する季節を決める必要はありません。基本的には吉祥文様は通年着用可能となっており、縁起のよい柄については季節を気にすることはないでしょう。伝統文様を深く掘り下げると面白い意味や言い伝えを知ることができます。今人気を得ている女性の袴姿は大正時代のものですが、合わせる着物の文様によって自分の想いをアピールできるかもしれません。千鳥格子はメジャーとなっており、着物だけでなく洋服のデザインとしても定着しています。