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一度は途絶えた幻の知花花織!100年ぶりに復活した織物をご紹介!

公開日:2022/12/01  


知花花織は沖縄の知花地方を産地とする紋織物です。仕立てると布の表面に幾何学的な模様が浮き上がる不思議な着物となります。美しく華やかで、沖縄でも特別な行事に着用する着物でした。沖縄の苦難の歴史とともに、知花花織もたくさんの苦痛を経験しています。じっと見つめていると不思議な感覚に陥る、知花花織の魅力を紹介します。

幻の知花花織とは

知花花織(ちばなはなおり)とは沖縄県知花地方に伝わる伝統工芸品です。素材は主に綿が使われますが、沖縄特有の素材として芭蕉や羊毛なども使って織り上げられます。日本国内では余り使われない、素材を使っているのも特徴の一つといえるでしょう。

布から織り出された柄が浮き出て見える織物を花織といいますが、知花地方の花織はとくに品質がたかく、希少価値があるものとされてきました。沖縄の特別な行事、ンマハラシーで乗馬服として着用することもあったので、着物のほかに上着、袴としても仕立てられます。帯にするとお召などの高級紬と合うようです。

一度は途絶えた知花花織の歴史

知花花織の歴史は古く、諸説ありますが1,700年から1,800年頃と伝えられます。その頃の日本は戦国時代を抜け出し、平和な江戸時代が始まろうとするときでした。琉球王国は古代より、絶えず大陸との交易を欠かさず、独自の文化を発展させています。知花花織のルーツも遠くインド、パキスタン、バングラデシュといった南アジアの技術を取り入れているようです。柄が浮き出る織物を花織と呼びますが、多くが琉球王朝へ税金として納める献上品でした。

献上する花織は図案が決められており、デザインを自由に開拓することは許されていません。知花花織は珍しく徴税を免除された織物でした。決まった図柄がないので、自由な発想で庶民の着物として次々に新しいデザインが生み出されます。珍しい柄が民衆の心をとらえ、たちまち人気を博しました。

やがて知花村の特別行事、ンマハラシー(競馬)や女性たちが五穀豊穣を願うウスデーク(臼太鼓)で、晴れ着として定着します。神に感謝をささげる神事において、知花花織は欠かせない着物となりました。おそらく織り方も自分で考え、開発していったのでしょう。知花村の女性たちは自ら織った知花花織を祭事で見せ合ったり、自慢したりしていたようです。女子力の高アピールですね。

しかし近代に入ると、沖縄の悲劇が知花花織の上に容赦なく襲い掛かります。二度の世界大戦を経て、沖縄は壊滅的打撃を受けました。爆撃を受け、伝統的織物のすべてが焼失してしまったのです。1,945年終戦後から沖縄は長くアメリカ軍統治下にありました。その後、本土復帰を遂げますが、この期間に織物の継承はかなわず、知花花織の製法は完全に途絶え、消滅してしまったのです。知花花織が地上から消えて100年の時が経ちました。沖縄市の一人の男性が、すでに伝説となってしまった、知花花織の魅力にとりつかれます。男性の名は旧知花村の幸喜新(こうきしん)といい、新聞記事で紹介された知花花織の研究を始めました。

しかし今生きている人で、知花花織の織り方を知っている人はいません、幸喜氏は老人に聞き取り調査をして、少ない情報の中から知花花織の手がかりを求めました。やがて家宝として残されていた知花花織を発見します。その技術力の高さと独特の自由な柄付きは、幸喜氏の想像を大きく上回るものだったそうです。幸喜氏は知花花織の復活と伝統行事、ウスデークの復活を同時に進めました。ウスデークに知花花織はどうしても欠かせない着物だったからでしょう。

やがて行政の助けもあり、協力者の支援を得て、知花花織は復活しました。かつてなかった新しい図柄も次々に考案されています。衣類だけでなく、カバー類やコースター、ネクタイなどさまざまなものが製作されるようになりました。民芸品としても高い評価を得ており、沖縄、知花の誇りと呼ぶにふさわしい織物となっています。

知花花織の魅力

知花花織の魅力は布から浮き上がった不思議な柄、紋様にあります。星のように美しくちりばめた紋様が大きな特徴でしょう。ほかの織物と違い、知花花織の柄は連続して同じ柄ではないのです。この技術はほかでは決して真似できません。かつて徴税の対象でなかったために、自由なデザインが展開されています。浮き出る柄は経糸を浮かして織り上げる、知花花織独特の手法により、生まれるものです。織りあがると布でありながら、立体感のある独特な着物に仕立てられます。

もう一つの魅力は目にも鮮やかな染色でしょう。知花花織に使用する糸は、天然染料、琉球藍で染められ、深みがあり、光沢を放つ糸となって布地を鮮やかに彩っているのです。伝統技術の復活に伴い、伝統的素材の継続使用にも、力を尽くしている証となっています。

まとめ

知花花織は沖縄県知花地方を産地とする伝統的織物です。庶民の着物として発達したため、自由なデザインが大きな特徴となっています。2度の大戦で、沖縄は大きな打撃と傷を負いました。その際、織物の多くが焼失し、知花花織も失われます。しかし一市民の賢明な努力が実を結び、100年後に復活しました。今では伝統工芸品として高い評価を受けています。

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