桐生織は1000年以上続く伝統工芸品!西陣織に並ぶ織物の魅力とは
織物といえば京都の西陣織が有名ですが、群馬県桐生市の桐生織も西陣織と肩を並べて名の知れている伝統工芸品です。歴史も1000年ととても長く、桐生織の起源にはロマンチックな伝説も存在します。そこで本記事では、桐生織がどのような織物なのかとその歴史、特徴について解説します。
桐生織とは
桐生織とは、群馬県桐生市の一帯で作られている伝統工芸品です。桐生市は気候や地形に恵まれており、昔から養蚕が盛んな地域として栄えてきました。桐生織は、京都で有名な西陣織と一緒に「西の西陣、東の桐生」ともいわれています。西陣や西洋からの技術を取り入れながら発展しました。鮮やかな色や豪華な柄が使われており華やかなイメージがある西陣織と比べ、桐生織は多色使いながら落ち着いた色合いでシックな印象がある織物です。
これといって代表的な柄はないものの、その分多種多様な種類の柄があります。伝統的な柄もあれば現代風のものもあり、さまざまな雰囲気を楽しめます。後継者の育成や産業の活性化に注力しています。近年では帯や着物以外にも、スカートやワンピースなどの洋装や、ポーチなどの小物としても使用されています。
1000年以上続く桐生織の歴史
桐生織は、1000年以上の歴史がある織物です。残っているもっとも古い記録は、続日本紀という書物の中の奈良時代のもので、714年に「黄あしぎぬ」という織物が桐生の地から朝廷におさめられたと書かれています。桐生織の起源には伝説があり、この話は、桐生から京都へ宮仕えにやってきた1人の男が朝廷の官女の白瀧姫に恋をしてしまうところから始まります。本来であれば身分が違うため許されない恋ですが、男には和歌の腕前があったことが功を奏し、天皇の前で和歌を詠んだことにより白滝姫と結ばれ、故郷の桐生に連れて帰る事を許されるのです。
そして白瀧姫は、男と桐生に下った際に桐生の人々に、得意としていた養蚕や織物を広めました。これが桐生の織物の始まりとなり、現在の桐生織の起源とされています。その後、西陣織と並ぶほどに有名になった桐生織は、新田義貞や足利尊氏、徳川家康などの歴史的武将の旗布や旗揚げ、献上品にも使われていきました。そして江戸時代の後期には、産業として発達します。明治時代には機織りにジャカード織機を導入し、現在の織物協同組合の前身である桐生会社や日本織物株式会社が創立したのをきっかけに着々と工業化を進めていきました。
そして江戸時代後期には分業化を徹底した、マニュファクチュア制度というものを日本で初めて導入し、明治時代になると従来のやり方から西洋式の大規模工場に転換することで工業化に成功したのです。1977年には、経済産業大臣が指定する伝統的工芸品に認められ、桐生織の技術はさらに高く評価されるようになりました。1993年に「通産省ファッションタウンモデル地域」に指定されたのをきっかけに「ファッションタウン桐生」として発展し続け、今に至ります。
桐生織の特徴
ここでは桐生織ならではの特徴について紹介します。
7つの技法
桐生織は糸を先に染めて織って柄を出す先染めの織物で、ジャカード織機を使用して織られ、素材感や独特の風合いが特徴的な高級織物です。伝統的工芸品に指定されている7つの織り方の技法によって作られています。
技法の種類には「お召織(おめしおり)」「緯錦織(よこにしきおり)」「経錦織(たてにしきおり)」「風通織(ふうつうおり)」「浮経織(うきたており)」「経絣紋織り(たてかすりもんおり)」「綟り織(もじりおり)」と呼ばれるものがあります。
中でもお召織は「桐生御召」といわれとくに有名です。桐生御召はシボという布面にあらわれる細かいシワが特徴で、ハリやしなやかさがあります。現代でも、カジュアルシーンにおしゃれに着こなしたいときにぴったりの着物から服飾品、インテリアに至るまで、広く愛されています。
先進的なデザイン
桐生織は、現在の技術を柔軟性に取り入れているところも魅力のひとつです。桐生織には、一目見て桐生織とわかる有名な柄はありません。矢絣や市松模様といった昔ながらの柄から、モチーフ化した花柄やタータンチェック、水玉模様といった現代風の柄も多くあります。ジャカード織機を使って織られた先進的なデザインも多くあります。
地元のソフトウェア開発会社と一緒にデザインシステムソフトの開発にも力を入れ、従来は試し織りで色や模様をチェックしていたところを、今ではほとんどコンピューターでのシミュレーションで対応できるようになりました。人気キャラクターやアニメとのコラボも積極的に行っており、スヌーピーやムーミン、ハローキティ、人気アニメ刀剣乱舞など、さまざまなコラボ商品を作っています。
機能面の開発
機能面でも、超撥水加工技術の開発や、防煙・消臭機能など、現代でも着やすいように工夫がされています。
まとめ
本記事では、桐生織の歴史や魅力について詳しくお伝えしました。1000年もの長い歴史がありながらも、伝統を守りながら時代に合わせて成長し続けているというところが、高い評価と人気につながっているのでしょう。フォーマルに使えるものからカジュアルなもの、古風なデザインから現代風のデザインのものがあるなど幅広く取り扱っているため、好みに合ったものを取り入れやすいよさもあります。