沖縄で作られている琉球絣は絣の原点?600種類以上の図柄がある?
琉球絣ってどんな着物?おしゃれに着こなすにはどうしたらいい?と興味を持っておられる方も多いのではないでしょうか。実は、現在では全国的に生産されて、メジャーになった絣文様のルーツともいわれているのです。そこで今回は、琉球絣の特徴や魅力をお伝えするとともに、コーディネートの仕方も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
琉球絣(りゅうきゅうかすり)とは
琉球絣とは、その名の通り沖縄で生まれた絹織物です。その歴史は長く14世紀から15世紀に東南アジアから琉球王朝に伝わったのが始まりだと伝えられています。その頃の琉球絣は貢納布(こうのうふ)と呼ばれ、王侯貴族や士族など、一部の身分の高い人しか着用を許されていませんでした。絣織りの技術は沖縄全土に伝わり、盛んになりました。
やがて江戸時代には技術が全国に伝わって、各地でさまざまな絣織りが開発されるようになったのです。まさに琉球絣が絣の元祖ともいえるのではないでしょうか。明治時代になると、琉球絣は市場にも出回り一般の庶民でも着られるようになります。第2次世界大戦で多くの職人の命が失われるなど大きなダメージを受けながらも、昔ながらの伝統を守り抜き、そこへ新しい技術を加えながら発展していきました。そして昭和58年には国の伝統的工芸品に指定され、平成16年には南風原町無形文化財に指定されています。
昔は沖縄全土に職人がいましたが、現在は沖縄県南風原町に200人ほどの職人が集まり、琉球絣のほとんどはここで製作されています。完全分業制が整っていて、括り、染め、織りなどの各工程に専門の職人がいるのです。制作方法は、経糸の間に緯糸を投げ込んで織るという昔ながらのものなので、1日に1~2メートルほどしか織ることができません。手作業で丁寧に織られる貴重な伝統工芸品を、職人みんなの力を合わせて作り出しているのです。
琉球絣の特徴
琉球絣の魅力は、多彩な図柄と独特の質感にあるでしょう。ここでは、琉球絣の特徴について紹介します。
豊富な図柄
琉球絣の特徴としてあげられるのは、なんといっても模様の種類が豊富にあるということでしょう。その数はなんと600種類以上。図案は、琉球王朝時代に作られた御絵図帳(みえずちょう)と呼ばれる今でいうデザイン帳のようなものを元にしています。幾何学模様を組み合わせたデザインのモチーフは、どれも植物や動物、生活用品といった身近なものになっています。
実は、これらの豊富な文様にはひとつひとつ意味があるのです。たとえば代表的な図柄であるイチチマルグムーは、5つの丸い雲を現した文様、トウイグワーは、2羽の小鳥を現した文様、ブリブサーは、夜空の星々を現した文様などがあります。
涼しげな着心地
亜熱帯気候の沖縄ならではの質感も特徴のひとつです。素材は、昭和初期ごろまでは木綿が主流でした。染料は、沖縄藍とよばれる赤みがかった藍です。現在では琉球絣の90%以上が絹で作られています。染料も沖縄藍のほかにも沖縄独自の植物や化学染料がつかわれています。素材は絹でありながら麻のようなシャリ感のある手触りが特徴の壁上布は、高温多湿の沖縄にぴったりな夏の定番です。
なぜ壁上布といわれるのかというと、表面を触った時の間隔が土壁を触ったときのようにざらざらとしているからです。これは、撚られていない普通の糸と強いよりがかかった糸の2種類を使用して織ることででき上がります。質感の違う2種類の糸を使うことにより、表面に繊細な凹凸ができ上がるのです。壁上布は肌に張りつくことがなく、さらりとした着心地です。まるで麻のような快適さを持ちつつも、絹が本来持つ美しい透け感を併せ持っているのが特徴です。
琉球絣のコーディネート
沖縄の気候風土にマッチした琉球絣ですので、南国風のコーディネートを楽しんでみるのもいいかもしれませんね。幾何学的な絣文様に合わせて、帯も幾何学模様がデザインされたものを選んでみてはいかがでしょうか。
大胆なパッチワークが施されているような帯を合わせてみても、遊び心があってよいかもしれません。帯で遊び心を出したので、帯締め、帯揚げ、帯留めはシンプルなものを身に付ければ、スッキリとした印象になります。初心者の方は、無難に白地やグレーの帯を合わせてみると無難です。白やグレーの帯は、どんな着物にもマッチするので、初心者でも簡単におしゃれなコーディネートが完成します。
帯がシンプルな分、帯締めや帯揚げ、帯留めの色でアクセントをつけましょう。着物に使用されている色をつかってまとめると、統一感が出ておしゃれな仕上がりになります。身に付ける小物類は、現代的なバッグやアクセサリーにすることでモダンな雰囲気を演出できます。
まとめ
以上、琉球絣の主な特徴についてまとめました。琉球王朝時代から現代まで受け継がれた伝統的な絣文様。今や全国的に広がっている絣文様のルーツともいわれています。琉球絣は暑くて湿度の高い沖縄の風土に合わせて、発展していきました。とくに2種類の違う糸を絡み合わせて織られた壁上布は、絹の素材でありながら麻のように涼しく着られるという、沖縄ならではの織物となっています。幾何学模様のデザインも600種類と豊富なので、帯や小物の合わせ方次第で多彩なコーディネートができるので、おしゃれの幅を広げることができるでしょう。