着物用コートと羽織は何が違う?寒い日や雨の日の装いについて解説!
着物用コートや羽織は、秋冬や雨の日の着物に欠かせません。せっかく綺麗な着物を着ても、寒すぎたり雨でぬれたりすれば、思うようには楽しめませんよね。ここでは、着物用コートと羽織の違いや、それぞれの装い方について紹介します。着物用コートを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
着物用コートと羽織の違い
着物用コートと羽織、どちらも着物の上から纏うものです。しかし、役割や用途が少しだけ異なります。外出先によってどちらを選ぶかも違うため、それぞれの特徴を学んでおきましょう。着物用コートと羽織には、どんな違いがあるのでしょうか。
■羽織はスーツの上着のようなもの
まずは羽織ですが、簡単にいえばスーツの上着のような扱いです。重要な会議や式典では、必ずスーツの上着を着用するでしょう。これと同じで、羽織も格式がある場で身に着けるものです。また、寒い日に防寒着として着用することもできます。羽織の大きな特徴は、室内でも脱がなくていいこと。スーツの上着も室内で脱ぐことがないように、羽織もそのまま着用できます。
■着物用コートは羽織の上に着用するもの
着物用コートは、羽織の上から着用する防寒具です。羽織だけでは寒いと感じたら、着物用コートを上から着用しましょう。洋服でいうと、スーツの上から着るジャケットやコートと同じ扱いです。こちらは室内では脱ぎましょう。厚さや材質なども選べるので、季節ごとに用意すると安心です。軽い雨なら弾いてくれるような、撥水性があるものが使いやすいでしょう。
■雨の日用の雨コートも販売されています
雨の日に着物を着用するときは、雨用のコートを使用します。冬なら着物用コートを着てもよいですが、春や夏だと暑いです。また、せっかく着物を着るのであれば、間違いなく雨を弾ける装いを心がけたいもの。
着流しや羽織の上から着られるような、雨用コートを1つ持っておきましょう。雨用コートを買うときは、丈の長さに気を付けてください。あまり長いと歩きにくく、短すぎると足元付近が濡れてしまいます。できれば、着物屋さんで自分に合うものを選ぶことをおすすめします。
着物用コートの種類
着物用コートにも、いくつかの種類があります。時代と共に着物の世界も変化し、より個人に合ったものを選びやすくなりました。どんな種類があるのかをまとめてみました。
■角袖
袖の部分が広がっている着物用コートです。袖を折ることなく、洋服のコートを着る感覚で羽織れます。着物の袖をそのままコートに収納したい方、袖部分をゆったりと覆いたい方に便利なコート。衿部分は、着物の衿のように仕立てているものから、洋服のような襟がついているものまでさまざま。自分の好みで選んでみてください。
■捩じり(もじり)
角袖とは少し袖の形が違って、袖から手首にかけて台形のような形になっています。角袖は、袖をそのまま収納できるメリットがありますが「移動中に袖が邪魔」ということもあるでしょう。そんなときは、コンパクトに収納できる捩じりが便利。お出かけ先によって使いわけるとよいでしょう。
■道行(みちゆき)
衿の部分を四角に切り取ったようなコート。着物の衿が見える造りなので、より和装の印象が強いコートでもあります。ただし、女性も着用するものでもあり、どちらかといえば女性のイメージが強い上着です。気になる方は、落ち着いた色合いのものを選ぶとよいでしょう。
■鳶(とんび)
マントに似た形のコートです。海外の外套を着物用に変化させたもので、シャーロック・ホームズが着ているコートといえば解りやすいでしょうか。近年に流行した「大正ロマン」のファッションでも、この鳶が取り上げられています。ファッション性が高いコートなら、この鳶が一番でしょう。
■雨コート
名前そのままに、雨用の着物コートです。袖の部分が大きく、着物用に広げてあることが特徴。雨の日の外出には欠かせないので、着物をたくさん着たい方は、一着持っておくとよいでしょう。購入する時は、裾が長く着物をカバーできるものをおすすめします。
着物の寒い日の装い
寒い費用の着物用防寒グッズは、たくさんあります。なかには、着物の装いをよりおしゃれにしてくれるものもあるので、積極的に使いましょう。
■ハイネックのインナーを着る
着物はどうしても衿が開くので、風が入って身体が冷えやすいです。そんな時に使いたいのがハイネック。洋服にある、首まで覆うトップスです。「洋服を合わせるなんて」と思われるかもしれませんが、寒さを無理に我慢する必要はありません。カジュアルなイメージも強くなり、冬の軽い外出にはぴったりです。
■厚手のストールやマフラー
寒い日は、厚手のストールやマフラーを巻いても構いません。着物用ではなく、洋服に使うものを買っても大丈夫です。とくに大判のストールは、肌寒い秋の日にするりと羽織ってお出かけができるので、持っておいて損はありません。ストールやマフラーの色・柄次第で着物の印象も変えられます。
着物の雨の日の装い
■着物にガード加工をしておく
絹をはじめ、基本的に着物は水に弱いです。いつも雨コートを持っていればいいですが、出先で急に雨に降られることもあるでしょう。そんなときのために、着物には「ガード加工」をしておくことをおすすめします。ガード加工とは、撥水加工のこと。すべての雨を弾くことはできませんが、細かい雨程度ならカバーをしてくれますので、購入するときに加工もしておくといいでしょう。汗対策・汚れ対策にもなります。
■雨ぞうりを持っておく
草履にビニールのカバーをつけた、「雨草履」というものが販売されています。草履の先端部分が、ビニールに覆われているものです。足元の濡れや汚れを防いでくれるので、雨の日用に持っておくと活躍してくるでしょう。ただし、ビニールは草履の前方にしかないので、長時間の外出や大雨には不向きかもしれません。
■ブーツを履いてもよい
近年は「着物×ブーツ」のコーディネートが大人気。アニメや大正ロマンからの人気と考えられます。雨や雪の日のお出かけには、ブーツを合わせてみては?足元がキリリと引き締まる感じで、格好よく仕上がります。雨や雪に強く、滑りにくい点を考えても、ブーツは着物にぴったりの履物です。
着物はマナーが面倒と思われるかもしれませんが、フォーマルな場以外であれば自由なアレンジも見られるようになりました。雨の日も寒い日も、まずは快適に過ごすことを優先して、装いを工夫しましょう。着やすいように着ることが、着物を楽しく着続けることにもつながります。