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御召着物はどのようなときに着るもの?歴史や種類についても解説

公開日:2022/04/01   最終更新日:2022/04/15


冠婚葬祭や行事で着用するイメージが強い着物ですが、近年は普段着・お洒落着としての見直しが進んでいます。着物には数多くの種類があるので、選べば普段着使いができるものも、お洒落に着用できるものもあります。ここでは、着物の中から「御召着物」と呼ばれるものを紹介しましょう。

御召着物とは

『御召着物』は『御召縮緬(おめしちりめん)』を使用した着物のこと。略して『御召』と呼ばれることもあります。

■『御召』の条件

御召は以下の条件で作られた生地です。

・撚り糸(捩じり合わせた糸)の中でも、撚りの回数が多い『強撚糸』を使用
・強撚糸を糊付け→生地を織る→湯通しを行い、生地の凹凸(シボ)がある
・先染めであること(先に糸を染めてから織る)

少し分かりにくいかもしれませんが、撚り糸は複数の糸をくるくると捩ったものをいいます。『強撚糸』とは、よりしっかりと捩じった糸のこと。でこぼこした糸なので、織ると『シボ』という独特の凹凸ができます。触ると程よくざらりとしているのが特徴。光の当たり方によって、品のよい影ができるところも人気です。

■「染め」「織り」の違い

着物には、大きく分けて2つの製法があることを知っていますか?

1つは、糸で着物を塗ってから染める「染め」の手法。もう1つは、糸を染めてから織って布に仕上げる「織り」という手法です。御召縮緬は、「織り」の中でもっとも高級といわれる布地。

ただし、御召着物をフォーマルで着用できるかどうかは「どんな着物に仕立てるか」によって変わってきます。『御召』はあくまで生地の種類であり、着物の格式は柄によっても違うためです。基本的に、着物の核は「染め」のほうが高級として扱われ、「織り」のほうが下になります。御召の中で一番上等といわれるのは、無地に紋を入れたもの。これが最高級の御召着物です。

御召着物にまつわる歴史

『御召着物』には、少し特別な歴史があります。この着物がどんな風に誕生し、日本中に広がったのかを紹介します。

■流行の発祥は徳川11代将軍・徳川斉彬

御召着物の発祥は中国といわれているようです。もともとは『柳条(りゅうじょう)縮緬』と呼ばれていましたが、徳川11代将軍・徳川家斉が愛用したことから、『御召着物』と呼ばれる様になりました。「御召」とは、『御召料』という言葉から来た名前で、徳川家が着用する着物のことをいいます。

当時の徳川家といえば、日本のトップ。その殿様が愛用した着物なので、みんな着用したがったのでしょう。御召着物の存在は日本中に広がることになりました。

■御召の始まりは「縞御召」から

御召着物の始まりは、『縞御召』から始まりました。縦に線が入ったような柄の着物で、徳川家斉が愛したのもこの縞御召です。当時は御召といえば縞御召でした。この縞御召が『御召着物』になったことから、この着物の歴史が広がっていったのです。現在でも、御召着物の中では格式高い着物として知られています。

絣矢羽が可愛らしい(かすり)御召は大正時代に人気

矢羽柄で有名な御召。大正から昭和にかけてよく作られ、女学生が着用する着物として重用されました。当時の漫画や映像でも、よく見ることの多い着物です。矢は一度放てば戻ってくることがないので、「お嫁に行った娘が戻って来ないように(幸せであるように)」という意味を込め、矢柄が多く使われたそうです。

御召着物はバリエーションが豊富

徳川家の殿様が愛したという事実は、その後の御召着物の歴史に大きな影響を与えました。多くの人が憧れた御召着物は、さまざまな種類を生み出します。地域によっても、作られる御召着物は違ってきます。

■地域で生産されている御召着物

京都の西陣で生産される御召着物のことを『西陣御召』と呼んでいるようです。西陣御召の特徴は、緯糸に『八丁撚糸』が使用される点です。それに加え、右撚り&左撚りを順番に使っていることや、先染めであることも条件となっています。

また、山形県置賜町で作られている『白鷹御召』、新潟県の越後で作られる『本塩沢御召』、こちらも新潟の十日町で生産される『十日町御召』など、御召着物の幅広さには驚くほど。この種類の多さから、「どれだけ多くの数が生産され、試行錯誤が繰り返されてきたのか」を知ることができるでしょう。

一年中着用できる着物です

着物のよいところは、一年中でも着用できること。これから御召着物を作るなら、まずは『単衣』を作ることをおすすめします。単衣は裏地のない着物のことで、6月から9月に着用します。単衣は厚みがないこともあり、初心者が着用するにもとても楽!

気になる裾さばきも、楽にできるので着やすいです。『袷』(あわせ)は裏地がある着物のことで、単衣を着ない季節に着用します。寒冷地に住んでいる方は、この袷を選んでみるとよいでしょう。一着持つと、どんどん他の着物にチャレンジしたくなるのも、着物の魅力のひとつです。

 

着物を着る機会が少なくなった現代ですが、着物文化の歴史を存続するためには、日本がもっと着用していくことが重要です。着物は世界に知られる文化でもあり、日本が誇る貴重なものともいえるでしょう。「日本といえば着物」と思い浮かべる外国人は少なくありません。この素晴らしい文化を後世に残すためにも、これから着物について学んでみませんか?御召着物をはじめ、日常着として着られる着物はたくさんあります。美術館や博物館など、ちょっとしたお出かけに着物は活躍してくれます。ぜひ楽しい着物ライフを。

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