着物を長持ちさせる保管方法
日本伝統の着用着である着物は、その華やかさから成人式や結婚式など祝いの席で着る機会が多い服です。ただ、特別なイベントでしか着る機会がなかったりします。そのため着物は押し入れに入れておく場合が多いのですが、注意しなければならないのが天然素材なので色落ちしたりまたカビが生えやすいことです。
基本は保管に最適な桐タンスの中に
天然素材で織られた着物を保管するときには、基本的には桐のタンスもしくはケースを使います。桐は古来から保管方法として用いられてきた方法で、少し値は張りますが大切な保存するのであれば持っておきたい一品です。桐は湿度の多い山の中腹部分に生える木なので、空気中の水分で腐らないように無数の穴が開いており適度に吸収しては放出する性質を持っています。
着物の最大の大敵は空気中の水分による湿気なので、桐の性質をうまく利用することで内部に湿気が溜まらなくなるのです。そして湿気の多い場所で生育するということは、カビや虫なども繁殖しやすいことを意味します。そこで桐は呼吸をする際にフィトンチッドという特殊ない成分を分泌し、それを纏うことでカビや虫を寄せ付けないようにしているのです。
着物も天然素材なので、カビや虫にとっては格好の繁殖場所になります。そのため桐のタンスやケースに入れておけば、フィトンチッドによって抑えられるので保管方法としては最適です。桐のタンスもしくはケースを用意できれば、本格的に収納の工程に入ります。
着物を収納するときには、シワが寄ってしまうと見た目が悪くなるので専用の畳みかたである本畳みをおこないます。何度か練習をしてみて本畳みが成功したら、それを一枚ずつ湿気を吸収するための文庫紙に包み込むのです。複数枚保管する場合には、一枚ずつタンスもしくはケースの中に入れて縦に重ねて並べることで入れ物の空間をなくせば紙が湿気を吸収できます。一枚から3枚程度であれば、空間があると湿気が溜まってしまうのでしっかりと専用の防虫及び防湿材を入れて保管するとよいです。
桐タンスがない場合は必須道具をそろえよう
桐のタンスもしくはケースを使うことで防湿及び防虫性があるので最適なのですが、ただ値が張ることに加えて少数を保管するために購入するのは難色と考える人も多いです。その場合は桐製のタンスやケースがなくても、適切な保管方法をおこなえば同等の効果を得ることができます。
近年では着物の所有数が僅かばかりではありますが増えているので、そういった少数保有をする人たちのために着物専用の保管袋というものが販売されているのです。値段も平均で3,000円と安く、しっかりと防虫と防湿をおこなってくれます。ただ専用の保管袋を利用する場合の難点としては、柔らかい袋に入れるので袋内部で揺れやすくシワが付きやすいという点です。
そのため定期的に検査して、しわが寄っていないか確認する必要があります。そして専用の保管袋も用意するのが面倒であれば、適切に折りたたみをおこなえば一般的なタンスなどの入れ物でもよいです。
ただ一般的なタンスに入れる場合には、桐と違って防虫及び防湿効果は皆無なので専用の大型防虫及び防湿剤を用意します。そして使用期限を把握しておき、その期限が近づいたら取り換えるということをすると桐ほどではないにしても長持ちすることはできるのです。
梅雨の時期の前には必ず虫干しを
最適な保管方法を実践できたら、次に保管において必須項目と言えるのが虫干しという作業になります。保管するときに防虫や防湿剤を入れて保管するといいましたが、それでも付着するカビや虫の繁殖を完全に防ぐことができるわけではないです。天然素材で織られているので、一度でもカビや虫の繁殖を許してしまえば一気に広がってしまい台無しになってしまいます。
そこで防虫及び防湿剤でも取り切れなかった部分をなくすために、最も湿気と虫が繁殖しやすい梅雨の時期の前に虫干しをおこなうことが重要です。虫干しの方法は、保管している紙から取り出して広げた後に専用のハンガーを使って通気性をよくします。個々で重要なのが店舗に干すのではなく、風通しの良い日陰の場所に干すことです。
天日干しは太陽の熱と紫外線によって防虫と防湿効果を得られるメリットがあるのですが、ただ天然塗料を使っているので紫外線に当たってしまうと分解されて色落ちをするリスクがあります。そのためハンガーで広げた後に通気性が良く日陰のある部屋に干すことで、内部にしみこんでいる湿気をなくすことができるのです。
干す期間としては最低でも1日を目安とし、干した後は再び正式な畳方をした後に紙に包んで保管します。ただ梅雨以外にも、春と冬の時期になったらおこなうとよい長持ちします。当然ですが虫干しをするときに、異臭がするときにはカビが繁殖している恐れがあるのでクリーニングに出すのが先決です。
日本の伝統着である着物は、その華やかさから成人式や結婚式などの晴れの日のイベントに着用することが多いです。ただ着物は何度も言うように、天然素材でできているので適切な保管をしないとカビや虫害を受けると着られなくなります。
その状態にならないためにも専用の桐のタンスやケースに入れるのが望ましいですが、用意できない場合には保管袋と防虫と防湿剤を用意して保管するのが望ましいです。その上で防湿剤でも取り切れなかった湿気を取り除くために、1年に2回ほどは通気性の良い日陰の場所で虫干しをして取り除くことも大切になります。